広告というと従来は道路脇の看板や電車の中づり、新聞広告やテレビCMといったものが思い浮かぶでしょう。
そんな広告において新しい広告手法として注目されているのが「ジオターゲティング広告」というものです。
従来の広告とどう違うのか、ジオターゲティング広告の仕組みについて見ていきましょう。
目次
ジオターゲティング広告とは?

ジオターゲティング広告の特徴は、位置情報を利用して特定のユーザーにターゲットを絞って広告を見せるという手法です。
ユーザーが居住する地域や行動しているエリアでユーザーに有益な情報を、主にスマートフォンのアプリ(インスタグラムなどのSNS等)などに広告として提供することができます。
また過去に行ったお店など、そのエリアで行動した際の記録からクーポンやイベントの情報を届けることもできます。
企業にとってはどのような顧客がそのエリアで行動しているか可視化し、より効果的な広告を打つことができます。
企業から見れば従来の広告よりもピンポイントに広告効果を測りやすいという一面もあるのです。
ジオターゲティング広告の仕組み
ジオターゲティング広告は主にユーザーの持つスマートフォンなどの位置情報等を取得することで行動や関心、さらには購入履歴などの情報を活用して企業がユーザーごとに合った広告を発信するものです。
取得方法によってデータの精度は違い、これらを合わせることでより効果的な広告が発信できるとされています。
それぞれの取得方法を見ていきましょう。
通信基地局
主に携帯電話やスマートフォンなどの電波を利用し、対象となるユーザーがどの基地局の場所にいるかという情報を取得できる。
位置情報としては一番大きなエリア情報となる。
GPS
主にスマートフォンなどに搭載され、人工衛星からの電波をもとにメートル単位でより細かい位置情報を取得することができる。
Wi-Fi
スマートフォンを含む通信機器がアクセスすることでどの店舗にいるかといった細かい位置情報を取得することができる。
GPSと違い屋内や地下といった場所でも細かい位置情報を取得することが可能。
IPアドレス
アクセスしているユーザーがどの通信回線からアクセスしているかという市町村レベルの位置情報を取得することが可能。
Beacon(Bluetooth)
一般的には無線イヤホンなどの機器同士を接続する通信手段だが、近距離での通信に優れており、店舗内の移動経路といった位置情報を取得できる。
交通系ICカード
鉄道などの交通手段やキャッシュレス決済といったものに使われるものだが、利用者の年齢層や会社員と学生に違い、利用した駅・車両の位置・時間情報を取得できる。
また、購入履歴も分析できるため、他の手段よりも独特かつ精度の高い情報を取得することが可能。
取得できる情報の比較
| 基地局 | 市町村レベルの位置情報 基地局との電波通信 |
|---|---|
| GPS | 数メートル~10メートル前後の位置情報 人工衛星との電波通信 |
| Wi-Fi | 店舗などの個別の場所での主に屋内の位置情報 Wi-Fi機器との電波通信 |
| IPアドレス | 市町村レベルの位置情報 有線による通信 |
| Beacon(Bluetooth) | 店舗内の行動といった主に屋内での精密な位置情報 機器同士の電波通信 |
| 交通系ICカード | 端末を使用した際の位置情報と行動に関する情報 端末とICカードとの接触通信 |
ジオターゲティング広告のメリットとデメリット

すべての広告がジオターゲティング広告に使えるという訳ではありません。
効果が高いものと低いものについても考えていきます。
メリット
テレビCMや新聞広告といった広範囲の不特定多数のユーザーに向けて広告を行うのと違い、
地域エリアに分けた上で特定のユーザーにターゲットを絞って広告配信ができるのが特徴です。
エリア内でスマートフォンを使って検索を行ったり、SNSを使用する際にユーザーに届くリアルタイムでの広告と、
訪れた後に広告を出して潜在ユーザーの集客効果を図るヒストリカルな広告があります。
データによっては性別や年齢層といったところまで絞って広告することもできます。
さらにクーポンなどを広告に付加させれば、広告を見て実際に来店したユーザー数などの効果測定を行うこともできます。
デメリット
多くは個人に向けた商品広告となるため、企業同士の取引であるBtoBには向いていません。
また、そのエリアや店舗を訪問したり一定の関心を持っていることが前提であり、全く新たな顧客を取り入れることは難しいともいえます。
個人情報保護の観点からもデータの取得にはユーザーの同意が必要であり、得られるデータも限定的になることは否めません。
ジオターゲティング広告の実用例

現在使われているジオターゲティング広告について、実際にどのような形で使われているのかを見ていきましょう。
駅看板.com
広告主が広告を出したい駅を中心としたエリアを指定し、googleと提携しているウェブサイトやYahoo!JAPANのサイトを閲覧、またはLINEなどのアプリを使用している際に広告を表示させるというものです。
表示させる相手は年齢や性別、検索しているキーワードなども指定することが可能で、ターゲットを絞った広告を出すことができます。
料金も月額5万円程度からと個人店なども広告を出しやすくなっており、従来の駅に掲示されている地域の広告看板を進化させた形となっています。
ジェイアール東日本企画「JRE Ads」
インターネットやアプリとは違うアプローチでジオターゲティング広告を行っているのが鉄道系の子会社。
自社の一番の強みが交通系ICカード「Suica」による履歴情報です。
自社サイトでの切符やショッピングサイトでの購入履歴に加え、親会社でもあるJR東日本のSuicaでの乗降履歴を併せて利用するというものです。
これらのデータからインターネットの各サイトやSNSといったアプリに広告を出しています。
通勤通学といった移動の時間帯や利用者の移動傾向など生活に直結した実データが多く、GPSやIPアドレスといった推定データではなく、確実に利用した確定データを利用できる点が特徴です。
まとめ
ジオターゲティング広告は現代人の行動に沿って発達した広告手法といえます。
コストや製作時間のかかるテレビ・ラジオのCMや広告看板といったものと違い、新聞広告や街の掲示板を進化させたものと見たほうが良いのかもしれません。
実際にイトーヨーカ堂などの大型スーパーでも、売り出しセールなどのキャンペーンにジオターゲティング広告が活用され、Webチラシを閲覧した買い物客にターゲットを絞ることで高い反応を得ることができたとされています。
ただしジオターゲティング広告はそれだけで全ての広告をまかなえるものではありません
例えば日常的にイメージを植え付ける必要がある食品メーカーや自動車メーカーといった大手企業。
こういった企業にとっては従来のテレビCMや広告看板といった放流型の広告や検索上位に表示されるリスティング広告も必要といえるでしょう。

