ビジネスにおいて、経営戦略の立案・策定に役立つのがフレームワークです。フレームワークとは、意思決定や問題解決を手順に沿って整理しながら進めていくための枠組みのことです。
ビジネスではさまざまな要因が影響を及ぼしあっています。経営戦略の策定には自社や競合他社、市場、顧客などを分析し、そこから必要な戦略を見定める必要があります。フレームワークを適切に活用することができれば、自社に合った経営戦略の立案・策定につながります。
経営戦略に必須となるフレームワークのツールや事例をわかりやすく解説します。
目次
経営戦略に必須!ビジネスに役立つフレームワークとは?
経営戦略の立案・策定やマーケティングなどを考える際にフレームワークを活用することで、新しい情報や多くのデータも手順に沿って整理し共有することが可能です。
フレームワークとは、分析や思考の枠組みのことです。企業が事業目標を達成するためには、自社の方針や方向性を定め、強みを活かすことで市場の競合との違いを明確にしていく必要があります。
意思決定や問題解決を行うときにフレームワークという共通の枠組みを用いることで、手順通りに整理しながらより論理的に施策を検討・実施することができます。
フレームワークの順番
ビジネスで必要なフレームワークには様々な種類があります。それぞれに特徴や役割があるため、フレームワークの利用に決まった順番はありません。自社の特性や状況、そのワークを利用する目的にふさわしいフレームワークを活用することが重要です。フレームワークの種類によっては他のフレームワークと組み合わせて使う必要があります。
将来を予測!PEST分析とは?
PEST分析は、マクロ的な外部環境の分析に役立つフレームワークツールです。Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という、自社ではコントロールできない4つの外部要因を分析します。
- Politics:政治的要因(法律や税制の変更など)
- Economy:経済的要因(物価や為替の変動など)
- Society:社会的要因(社会問題、トレンドなど)
- Technology:技術的要因(技術の発展など)
例えばコロナ禍における飲食業界の事例では、新型コロナウイルス感染拡大防止のために政府が緊急事態宣言を出したことが政治的要因に当たります。緊急事態宣言により人々が外出自粛を意識し、テイクアウトのニーズが高まったことは社会的要因と言えるでしょう。クラスターの発生で会食などが控えられた結果、飲食業界では売り上げが減少しました。これは経済的要因です。技術的要因にはセルフレジの普及やタッチパネルによるセルフオーダーシステムの導入などが挙げられます。
政治動向や経済の変化などの自社で統制することが難しい要因を把握し、自社にどのような影響があるのかを分析できれば、チャンスをうまく活かしピンチをできる限り素早く回避することも可能になります。
3C分析
3C分析は、Customer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)という3つの観点から環境を分析するフレームワークです。
- Customer(市場・顧客):市場規模、顧客のニーズなど
- Competitor(競合):どんな競合があるのか、シェア率、特徴など
- Company(自社):企業や商品、サービスの特徴など
自社については主観が入りやすいので、特に客観的な分析を意識することが必要です。
3つのCを分析することで、自社が立てるべき経営戦略がわかりやすくなります。
5つの脅威!ファイブフォース分析とは?
「フォース」とは「脅威」、つまり自社を脅かす可能性のある存在のことです。ファイブフォース分析では、自社にとっての脅威を5つに分けてそれぞれを分析することで、業界の競合の現状を知り、自社の収益性が高いかどうかを検証することができます。
- 競合他社:業界内での競合他社の数や力など
- 代替品:自社の商品やサービスに代わり得る他業界の商品やサービスなど
- 売り手の交渉力:自社と売り手(サプライヤー)との力関係
- 買い手の交渉力:自社と買い手(消費者や顧客)との力関係
- 新規参入:新たな企業が参入し競争が激化する可能性や影響
自社の現状を理解する!SWOT分析とは?
SWOT分析とは、自社の内部環境であるStrength(強み)、Weakness(弱み)、外部環境であるOpportunity(機会)、Threat(脅威)の4つを分析することで、自社の内部環境と、自社を取り巻く外部環境を理解するのに役立つフレームワークツールです。
プラス要因 | マイナス要因 | |
---|---|---|
内部環境 | Strength(強み) | Weakness(弱み) |
外部環境 | Opportunity(機会) | Threat(脅威) |
4P分析
4P分析とは、マーケティング施策を構築する際に使うフレームワークです。Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の頭文字をとって4Pと呼ばれています。
- Product(製品):どんな製品やサービスを提供するのか
- Price(価格):いくらの価格で提供するのか
- Place(流通):どこで提供するのか(販売する場所や方法)
- Promotion(販売促進):どうやって製品やサービスを知ってもらい、購入してもらうのか
4つのPを統合してバランスよく考えることで、マーケティングミックスとして高い効果を発揮することができます。マーケティングミックスとは、製品やサービスを購入してもらうためにマーケティングツールを組み合わせることです。4Pもマーケティングツールです。
マーケティングツールの代表的な要素には他に4C分析があります。4Pが企業からの視点であるのに対して、4Cは買い手(消費者や顧客)の視点に立っています。
- Customer Value(顧客価値):顧客がどのような価値を感じているか
- Cost(顧客が負担する経費):購入するまでに顧客が負担する費用や労力
- Convenience(利便性):顧客にとって利便性の高い方法で製品やサービスが提供されているか
- Communication(顧客とのコミュニケーション):企業と顧客がコミュニケーションをとる方法や機会
フレームワークを活用するには
フレームワークの活用は、経営戦略の策定に効果的です。しかし、フレームワークを使って分析を行うこと自体が目的なのではありません。ビジネスで使うフレームワークは企業の目的達成のためのツールです。フレームワークの特徴や効果を深く理解して、目的に合ったフレームワークを正しく使うことが重要です。フレームワークをうまく利用して情報を整理し、経営戦略に落とし込みましょう。