2024年、日本マクドナルドが公式X(旧Twitter)上にアップロードしたプロモーション動画に批判が殺到し大炎上となりました。
- マクドナルドの炎上したAI広告はどんな広告?
- 生成AIを活用した広告のメリット
- 生成AIを活用した広告の他事例
- 生成AIを活用した広告作成で炎上を避けるには?
- まとめ
マクドナルドの炎上したAI広告はどんな広告?
まず、この広告動画の最大の特徴といえるのは生成AIを用いて制作されているということです。
マックフライドポテトを持った女の子たちが、次々と登場するといった内容の動画ですが、登場する女の子たちは生成AIを活用して作成されていました。
マクドナルドのAI広告、なぜ炎上した?
近年、広告にAI生成を活用する企業が増加している中、なぜマクドナルドのAI広告は炎上してしまったのでしょうか。
マクドナルドのAI広告の炎上理由①:「不気味」、「気持ち悪い」、「不自然」
マクドナルドの広告で生成AIを用いて制作された画像はほとんどが本物のような女性ですが、少し違和感を感じる画像もあり、不自然であると感じる人も少なくなかったようです。
また、AI広告やロボットを語る際にたびたび問題提起される、ロボット工学者の森政弘氏が提唱した「不気味の谷現象」により、「不気味」や「気持ち悪い」、「不自然」と感じ炎上の理由になっていると考えられます。
マクドナルドのAI広告の炎上理由②:著作権に関する疑問点
基本的には、生成AIはネット上の膨大なデータを取り込み学習した内容をもとに情報を生み出す技術です。
マクドナルドのAI広告が何かの盗作というわけではありませんが、全世界から抽出したデータで作成されていることから著作権の侵害になるのではないかという考えがあり、炎上の理由のひとつになっています。
マクドナルドのAI広告の炎上理由③:生成AIにより仕事が奪われるという危惧感
現在、炎上したマクドナルドのAI広告のようなクリエイティブな分野だけではなく、多くの職業でも生成AIは用いられており、近年の急速な生成AIの発展により「人間の仕事が奪われるのではないか」と不安に駆られる人も少なくないようです。
マクドナルドのAI広告の炎上も「クリエイターの仕事が奪われた」と多くの視聴者が考え、炎上に繋がったのでしょう。
生成AIを活用した広告のメリット

マクドナルドの事例のように生成AIを用いて作成された広告は「生成AIを使用したから」という理由だけで炎上する訳ではありません。
生成AIを用いた広告にはマクドナルドの生成AI広告の炎上のように少なからずリスクはありますが、生成AIを用いて広告を制作することで得られるメリットは多くあります。
生成AIで広告作成するメリット①:制作コストの削減
生成AIで作成する広告には制作コストの削減が考えられます。
例として、生成AIを用いて一部の作業を簡略化することで制作にかかわる人件費の削減、AIモデルを活用した出演料の削減などがあげられます。
生成AIで広告作成するメリット②:制作の簡略化による生産性の向上
生成AIを用いて広告の作成する際には、制作の工程を簡略化することで生産性の向上が考えられます。
例として、広告で必要な素材を豊富なバリエーションで生成し効果的にパターン検証することが可能です。
また、字幕やナレーションの生成や多言語化なども制作工程の簡略と言えるでしょう。
生成AIで広告作成するメリット③:クリエイティブの向上
生成AIを利用することでアイディアの偏りを避けることや、膨大なデータから作成されるCGやアニメーション、映像効果を用いるなどでクリエイティブの向上が考えられます。
生成AIを活用した広告の他事例
生成AI広告で炎上しなかった事例①:伊藤園
「お~いお茶 カテキン緑茶」のリニューアルの告知。
白髪交じりの女性が商品を手にすると、若返り現代の姿になるという演出
生成AI広告で炎上しなかった事例②:大日本除虫菊
未来都市にそびえ立つキンチョールのボトルや、キンチョールのギザギザ模様をモチーフにした空間などが特徴。
従来のCMとは異なりインパクトの強い表現で話題に。
生成AI広告で炎上しなかった事例③:シャープ
故・松田優作さんが現代人に疑問を投げかけるようなセリフを語りかける。
令和の時代に松田優作さんが復活したような映像が話題に。
生成AI広告で炎上した事例①:コカ・コーラ
AIが生成した動物のキャラクターで構成されているが、統一感のなさ、不気味さなどがあり、炎上。
クリエイティブ業界から嫌悪感を感じる、芸術性が冒涜的と批判も。
生成AI広告で炎上した事例②:JAL
「JALラグジュアリーカード」の公式サイトやプロモーションで使用する画像を、生成AIで作成。指の形や数が不自然であったり、全体的な合成感や非現実的な雰囲気。
「高級感がない」、「品質管理が不十分」などの意見があり炎上。
生成AI広告で炎上した事例③:Vogue
Vogueの本誌に掲載されたファッションブランド「GUESS」の広告でAI生成モデルが使用されており、クリエイティブ業界から仕事を奪う内容である点や、非現実的なまでに完璧すぎるモデルの画像など、雑誌の信憑性が失われたと感じるといいった内容で炎上。
生成AIを活用した広告作成で炎上を避けるには?

生成AIが作成したものをそのまま使用した場合、炎上のリスクは高まることが考えられます。
生成AIを用いて広告を作成する際に炎上のリスクを下げる方法としては下記のような内容が必要と言えます。
①人間による最終確認
AIはハルシネーション(誤情報)を生成したり、不適切な表現を意図せず行ってしまう場合があるためコンテンツは生成されたままでの使用は避け、必ず人間が最終チェックすることが必要と考えられます。
②著作権や知的財産権などの侵害リスクのマネジメント
AIはWeb上の膨大なデータから学習します。
そのため、学習データの中の著作物に類似したコンテンツを生成する場合があります。
類似性のチェックや、使用ツールの利用規約を確認することで著作権や知的財産権などの侵害リスクを管理することが必要となります。
③社内でのAI使用のルールの整備、明確化
AIを使用する際に社内の人間が共通認識を持ってAIを活用できるようにAIの使用目的や使用可能なツール、禁止事項の取り決めなどが必要です。
また、著作権や知的財産権に関する教育をすることでリテラシーを高めることも必要でしょう。
④制作物の透明性を意識
生成AIを用いて広告を制作する際には、可能であれば生成AIを使用していることを開示することを検討しましょう。
万が一、説明責任が発生するような問題が起こった場合でも、透明性をもった対応が可能になります。
まとめ
生成AIの技術が広告業界に与える影響は大きくなっています。
消費者のニーズや感情を考え、適切な対応、制作を行うことが大切です。
今回はマクドナルドのAI広告の炎上を例にしましたが、マクドナルドのような大手企業だけではなく、生成AIのような新たな技術を導入する際には、消費者の反応の予測やリスクヘッジなどを慎重に行うことが求められます。
炎上だけではなく、著作権や知的財産権などの侵害に発展する可能性があります。
リスクをしっかりと意識し、適切にAIを使用することで大きな利益につながる可能性があるでしょう。

