【Illustrator基本操作】印刷用データ作成の基本と罠

【Illustrator基本操作】印刷用データ作成の基本と罠

IllustratorでDTP(印刷物の作成)をする際、注意しなければいけないポイントをまとめます。
これらが守られていないと、印刷所から差し戻しになり、納期が遅れることも…。
しっかりチェックしましょう。

操作について、動画で解説しています。記事の下部に貼っていますので気になる方はご覧ください。

Illustrator、入稿する前にチェック!

Illustratorで作成した入稿データについて、入稿の前に必ずチェックしましょう!
細かいチェックポイントは印刷所によって違いますが、基本の部分は一緒です。
印刷所のデータ作成ガイドや、ほとんどの印刷所ではデータ作成用のテンプレートを配信していますので、ダウンロードして確認しましょう。
専用のテンプレートしか使用できない印刷所もあれば、
テンプレートを使用せずオリジナルで作成した入稿データも受け付けてくれる印刷所もあります。
入稿する印刷所が先に決まっていれば、印刷所ごとのデータ作成ガイドやテクニカルガイドを先に確認した方が良いです。

この記事では、入稿データの作成時に気をつけなければいけない基本的なチェック項目を確認します。
ポイントをまとめると下記の通りです。

  • カラーモードがCMYKになっている
  • 文字が全てアウトライン化されている
  • 画像が埋め込み設定になっている
  • 塗りたし・トンボが設定されている

これらをしっかり満たしましょう。

カラーモードがCMYKになっているか確認。インキ量もチェック!

カラーモードがプロセスカラー(CMYK)になっているか確認しましょう。
RGBのまま作業をしてしまった場合、カラースペースの相違から、
モニターで見た色と実際に印刷で出力される色のギャップが大きくなることがあります。
そもそもは、データ作成時にカラーモードをCMYKにして作成するとよいでしょう。
カラーモードを後から確認、変更するには下記の手順の通りにします。

  1. ファイルメニュー→ドキュメントのカラーモード
  2. CMYKを選択

RGBで作業をしていた場合、CMYKに変換することで色が褪せた感じに変換されることがありますが、それで正常です。
印刷の基本色であるCMYKでは、モニター(RGB)では表示される鮮やかな黄緑や鮮やかなピンクなどは出力できないためです。

また、主にベタ塗り(面積の多い塗り)の部分の総インキ量が多くなりすぎないようにも確認しましょう。
総インキ量が多いと、インキが乾きづらい、裏抜け(裏にインキが透ける)するなどがあり、品質に影響します。
カラーパネルでCMYKの値を確認してください。
細かくは印刷所ごとにガイドが異なりますが、CMYKの合計値の上限は300%〜350%とされています。300%を下回るようにすると安心です。

DTPで使用するカラー設定について、いくつか覚えておきたいことがあります。

リッチブラック

黒をオーバープリント(重ねて印刷する)場合、K100%のブラックでは
インキの濃度の問題で後ろに重ねている印刷が透けて見えてしまうことがあります。
透けないように、K100%ではなくCMYKを混合したブラックの表現をリッチブラックと言います。
この配分がリッチブラック、と決まった配合があるわけではありません。
おすすめの配合としては、C50 M40 Y40 K100 のように設定します。

また、リッチブラックを使用する際は、細い文字などに使用してしまうと
それぞれの版がズレてしまった時に黒ではない色がはみ出てしまう、版ズレが起こってしまうので、
細い文字や細かいデザインはKのみで設定するなど気をつけます。

レジストレーションカラー

トンボ・トリムマークのみに使用される、CMYK各版が100%のカラーです。
さきほど、総インキ量の合計が大きくなりすぎないように!というポイントがありましたが、
トンボに限っては、それぞれの版を個別に印刷した際にすべてにトンボが表示されるように
全色100%のレジストレーションカラーに設定されます。
イラレでオブジェクト→トリムマークの作成で作成された線を、カラーパネルで確認すると
「レジストレーション」と表示されているのが確認できます。

特に注意!アウトライン化・画像の埋め込み

入稿データで特に注意しなければならないのは、フォント切れ・リンク切れです。
これらを起こしてしまうと、ほとんどの場合データは差し戻しになり再提出が必要になります。

フォント切れ

文字のアウトライン化をしていないと、フォントの設定がない場合にフォントが表示されない「フォント切れ」になります。
アウトライン化は下記の手順で行うことができます。

  1. 文字を選択
  2. 書式→文字のアウトライン化(Shift+Ctrl+O)

これでアウトラインを作成しましょう。
文字以外を選択してアウトライン化してもできるので、全選択してアウトライン化すると間違いなく、手っ取り早いです。
アウトライン後は文字としては編集できなくなるため、作業の最後に仕上げとして行いましょう。
また、ファイルを「アウトライン未」、「アウトライン済」というように別名で保存しておくと、後からの文字の修正も安心です。
「ol未」、「ol済」という感じで、略してファイル名に付記することも多いですね。olはoutline(アウトライン)ということです。

リンク切れ

画像を配置した際、リンクに設定していると、ファイルを移動、削除した際に
AIデータに埋め込まれておらず画像が表示されない「リンク切れ」になります。
リンクは、編集中はオンにしておいてもよいのですが、入稿データでは埋め込みの設定にします。

  1. 画像を選択
  2. リンクパネルのパネルメニューから「画像の埋め込み」

上記を行いましょう。

画像が大量に配置される場合は、すべて埋め込み画像にするとファイルサイズがとても大きく、動作が重くなる可能性があります。
そのような場合は、編集作業はリンクで行い、最後に埋め込むようにするとよいでしょう。

塗り足し・トンボを作成すること

印刷所で印刷物を仕上げる際は、例えばA4の仕上がりをA4用紙に印刷するのではなく、
それより大きい用紙に印刷し、裁断(裁ち落とし)して仕上げます。
このとき、用紙の端までプリントしたい場合は、裁ち落としの際にズレて白いフチが出ないよう、
仕上がりサイズより大きく塗りの範囲を広げてデータを作成します。
この、仕上がりサイズよりはみ出て作成する塗りの部分のことを塗り足しと言います。
仕上がりサイズから3mmを塗り足しと設定することがほとんどです。

この、塗り足しの作成と仕上がりラインの目安のために、印刷物にはトンボの作成を行いましょう。
トンボはトリムマークとも呼ばれます。
Illustratorでは下記のように作成することができます。

  1. 仕上がりサイズのシェイプを長方形ツールで作成し選択
  2. オブジェクト→トリムマークの作成

【Illustrator基本操作】印刷用データ作成の基本と罠 まとめ

いかがでしたでしょうか?
印刷データをIllustratorで作成する場合の注意点をまとめてみました。
今回の操作方法は、Youtubeで実際に説明していますのでぜひチェックしてください!
毎週水曜日にIllustratorのワンポイントレッスン、「解決!なみちゃんねる」を更新中です。