経営者にとって、自社サービスや製品をいかにユーザーにアピールするかは重要な課題です。Webマーケティングに取り組む企業の多くが、限られた予算内で効果的に成果を出すことに頭を悩ませています。
費用対効果の高いパフォーマンスを行うには、どうすればいいのでしょうか?課題解決のためには、まずはWeb広告の仕組みを理解しておくことが大切です。
ここではWeb広告のひとつ、ターゲティング広告について説明します。基礎知識から仕組み、運用のメリットまで解説していきます。
目次
ターゲティング広告とは?
ターゲティング広告とは、ユーザーに適した内容を表示させる広告のことを言います。過去の閲覧履歴を分析することで、そのユーザーの興味関心に合った広告を表示させることができます。
絞り込まれたユーザーに表示するので、不特定多数に向けたテレビCMや雑誌の広告と違い、自社の商品やサービスを目にとめてもらいやすくなります。
ターゲティング広告の必要性
テレビCMや雑誌の広告とは違う、ターゲティング広告ならではの強みとはなんでしょうか。秘密は広告を見る人、つまりターゲットの絞り方にあります。
Webサイトの閲覧履歴といった情報を元に、その分野に興味関心のあるユーザーを絞り込みます。そうすることで、ユーザーのニーズに合った情報を届けることができるようになるのです。
ターゲティング広告の注目ポイント
- ターゲットを絞れる
- 費用を抑えられる
- 高い成約率につながる
費用を抑えながら、高い購入率・成約率を達成したいならば、活用するべき広告だと言えます。
ターゲティング広告の仕組み
ターゲティングの対象は、スマホの閲覧履歴や位置情報などのビックデータと呼ばれる情報を解析することで絞られます。
どのようにユーザーのニーズを割り出し、ターゲットを絞るのかについては、広告の種類によって異なります。それではターゲティング広告の種類とその仕組みを5つをご紹介します。
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングに使われる情報の例
種類 | ユーザー | 配信内容 |
---|---|---|
位置情報 | 検索履歴 | 行動履歴 |
そこにいる人・いた人、そこによく行く人 | アニメに興味がある人 | テニスラケットを「買い物かご」に入れた人 |
近くの店のクーポン、施設やマンションの広告 | 動画配信サイト、グッズサイトの広告 | リターゲティング広告、スポーツ関連の広告 |
オーディエンスターゲティングは、ターゲティング広告の中でもっとも知られた方法です。商品購入履歴やサイト訪問履歴といったユーザーデータから、個人の属性、行動履歴などのデータを抽出します。
抽出されたデータは分析され、その「人」に対して適切な広告が配信される仕組みです。
広告枠という「スペース」に対して出されるのではなく、「ユーザー」に対して関係のあるものだけがカスタマイズされて表示されます。
オーディエンスターゲティングはさらに、以下の3つに細分化することができます。
- 行動ターゲティング
- サーチキーワードターゲティング
- 属性ターゲティング
行動ターゲティング
サイトの閲覧履歴や行動履歴といった行動データを元に、配信するターゲットを絞り込みます。ユーザーの関心が高い分野を把握でき、購入といった成果につながります。
サーチキーワードターゲティング
あらかじめ指定しておいたキーワードを、ユーザーが検索すると表示される広告です。リスティング広告とも言われます。ユーザーが実際に検索しているキーワードなので、高いクリック数や購入数が見込めます。
属性ターゲティング
性別や年齢・職種といった、ユーザーの「属性情報」を元にターゲティングされます。女性向けサービス、ハイクラス向け転職サイトなど、特定の属性に向けて発信したいときに効果的です。
コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングに使われる情報の例
ターゲット | 内容 |
---|---|
トピック | 動画の内容や記事のテーマ(美容/教育/英語/政治など) |
キーワード | 指定したキーワード(脱毛/ピアノ教室/英会話など) |
デバイス | パソコン・スマートフォン・タブレットなど |
コンテンツマーケティングとは「人(ユーザー)」に対してではなく、「コンテンツ」をターゲットとして配信される広告のことを言います。
コンテンツとはサイトに表示されている文章や画像、動画など中身のことを指します。サイトの内容が分析され、それに見合った広告が表示される仕組みです。
例えば美容系のサイトであればダイエットサプリやジムの広告、恋愛系のサイトではマッチングアプリの広告が表示されるといった具合です。
オーディエンスターゲティング同様、ユーザーの関心の高い広告を表示できるので、成約に結びつく可能性が高まります。
リターゲティング
リターゲティングに使われる情報の例
ユーザーの状況 | 広告の種類 |
---|---|
商品ページを閲覧したが、買い物かごに商品を入れなかった | 買い物かごに追加しなかったの商品の広告 |
買い物かごに商品を追加したが、購入しなかった | かごの中の商品のタイムセール広告 |
商品Aを購入した | 関連商品の広告 |
リターゲティングとは過去に訪れたサイトの情報を、後日別のサイトに広告として表示させる方法です。ユーザーの行動を追うので、追跡型広告とも呼ばれます。
追跡には「Cookie」と呼ばれる、ブラウザに蓄積される識別情報が用いられます。
リターゲティング広告は、購入を渋ったり迷ったりして離脱したユーザーに対し、再度購入を意識させる効果が期待されます。
ジオターゲティング
ジオターゲティングに使われる情報の例
情報源 | 内容 |
---|---|
GPS | 人工衛星がキャッチする位置情報 |
Wi-Fi | Wi-Fiアクセスポイントからの位置情報 |
IPアドレス | 通信機器を識別するための番号 |
ビーコン | Bluetoothの発信情報 |
ジオターゲティングは位置情報ターゲティングとも言われ、文字通りユーザーの位置情報を元に広告が表示されるものです。IPアドレスやGPSなどから取得できる情報が使われます。
レストランやアパレルショップなど、特定の場所と関連付けて表示させたい場合に効果的です。現在近くにいる人や、近くに住む人、ひんぱんにその場所に向かう人などをターゲットにすることができます。
曜日・時間帯ターゲティング
曜日・時間帯ターゲティングの活用例
時間帯 | 配信内容 |
---|---|
通勤・通学時間 | 朝のニュース、メルマガ |
ランチタイム | お店のクーポン |
夕方 | 食材宅配の広告 |
週末 | レジャー情報 |
曜日・時間帯ターゲティングは、指定した曜日と時間帯に広告を表示させることができます。
通勤時間や就寝前といったユーザーの行動に合わせて予約をしたり、タイムセールを周知させる目的などにも利用されます。
効果を上げるためにはパフォーマンスをこまめに分析し、ターゲットに応じて調整することが不可欠です。
ターゲティング広告のメリット
ターゲティング広告は、商品やサービスに関心を持つ人をターゲットに配信できる広告なので、効率的でムダの少ない方法だといえます。
企業側は見込み客にサービス情報を届けることができて、ユーザーは自分に関係する広告だけが見れるのでストレスが減り、双方にとってメリットがあると言えます。
さらに、具体的なメリットを3つご紹介します。
CV率が向上する
ターゲティング広告では、高いCV率(コンバージョン率)が見込めます。サイトへのアクセスを増やす、購入数を増やすなど、企業が設定したゴールの達成率に貢献します。
ターゲティング広告はユーザーの興味関心が高い分野を狙うので、サービスや商品に関心を持ってもらいやすく、さらに取りこぼしが少ないというメリットがあります。
広告コストを抑えられる
ターゲティング広告は、自社の商品やサービスに関心を持ってもらえそうな層を狙い撃ちできる手法です。よって、商品やサービスを見ない・リンクをクリックしない可能性が高いユーザーはあらかじめ除外できるというメリットがあります。
狙った枠・人、指定したキーワードなど特定の条件において表示されるので、費用対効果が高いと言えます。
効果測定ができる
Web広告特有の大きなメリットと言えるのが、自社で効果測定をできるという点です。分析ツールを使うことで、アクセス数やユーザーの行動パターンなどを細かく分析することが可能です。
効果測定をうまく利用することで、より効果の高いキーワードに設定し直したり、新たな戦略のアイディアを考えることができます。
従来の雑誌広告のような、出稿したら終わりというやり切り型ではなく、なんども微調整を繰り返しながら精度を高めていけるのが、ターゲティング広告の最大のメリットだと言えるでしょう。
まとめ
ターゲティング広告は、売りたい商品やサービスを、興味・関心を持ってくれそうなユーザーに狙って届ける手法です。高いCV率が期待できる上、費用対効果の面でも運用に欠かせないツールだと言えます。
ターゲットは売りたい商品やサービスに応じて年齢、性別、地域などを指定できるので、目的に合った仕組みを使いわけ、より効果の高い運用を心がけましょう。