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UI/UXデザイナーがなくなる?
UI/UXが注目し始めたのは、2007年にAppleが「iPhone」が発売された時期です。理由は、「直感的に操作がわかりやすい」からでした。今では、携帯電話所有者のスマートフォンの比率が98%になっています。この普及の背景には、UI/UXデザイナーの活躍があったからです。近年では、「UI/UXデザイナーの仕事がなくなる」とささやかれていましたが、その主な理由は下記のとおりです。
- AIやノーコードツールが普及して、専門的知識がなくてもデザインができるようになったこと
- Webデザイナーの技術も上がり、UXデザインを考慮した構成で作成するデザイナーが増えており、業界全体のレベルが飛躍的に向上
- Figmaの自動レイアウトや生成画像などのAIデザインが自動化しはじめており、デザイナーの仕事が奪われる懸念
以上のことがあります。とはいえ、人間がサービスや製品を使う以上、AIにできない事柄があります。
そもそものUI/UXデザイナーとは?
UI/UXデザイナーの本質は、単なる「見た目のデザイン」や「操作のしやすさ」を超えて、ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験全体を設計することにあります。以下にその本質を体系的に整理します。
- ユーザー中心設計(User-Centered Design)
- ユーザーのニーズ、行動、感情を深く理解し、それに基づいて設計する
- 「誰のために」「何のために」デザインするかを常に問い直す
- UI(ユーザーインターフェース)の役割
- ユーザーが製品と接する「見た目」や「操作性」を設計
- 例:ボタン配置、色使い、フォント、レスポンシブ対応など
- 目的:直感的で迷わない操作を実現する
- UX(ユーザー体験)の役割
- 製品やサービスを使う過程で得られる「体験」全体を設計
- 例:使いやすさ、感情的な満足度、再利用したくなる魅力
- 目的:ユーザーの期待を超える体験を提供する
UI/UXデザイナーは「どうすればユーザーが満足するか?」を問い続ける存在です。技術やツールは手段であり、目的はユーザーの幸せな体験の創出です。
AIの役割
AIはあくまで過去のデータの延長線上にある解を導き出すツールであり、真に革新的なデザインは、人間の直感、洞察、そして文化や社会への深い理解があってこそ生まれます。言い換えれば、AIが「効率」と「再現」を担う一方で、人間は「創造」と「革新」という、より本質的な役割を担うことになります。この視点から、AIと人間の役割を対比すると、以下のように表現できます。
- AI:過去のデータから最適解を導き出す「最適化のプロ」
- 人間:未知の課題に挑み、新たな価値を生み出す「イノベーションの担い手」
AIは、過去の膨大なデータから「多くの人にとって成功しやすいデザイン」を導き出すことは得意ですが、個々のビジネスやターゲットに深く寄り添い、「そのクライアントのためだけの最適なデザイン戦略」を提案することは難しいのです。これからの時代は、AIの得意分野をいかせる人材が必要とされてきます。
業界別、UI/UXデザイナーの需要

現在では、パソコン・スマートフォンをはじめ、生活家電にもUIデザインは組み込まれています。新たなサービスや製品を開発するにあたり、UI/UXデザイナーはなくてはならない存在となっており、どの業界でも需要は非常に高いです。
- IT業界では、UI/UXデザイナーの主要な雇用市場の一つで、さまざまな業界でこの分野の専門家を求めています。Webサービス、アプリなどは、UI/UXが製品やサービスの成功に影響するため、実力のあるUI/UXデザイナーは貴重な人材になります。
- ゲーム業界:ゲームの成功は、「没入感を高める洗練されたUIと、直観的で快適な操作性」にかかっています。ゲーム業界では、創造的なスキルや独自のデザインセンスが評価されるため、充実したポートフォリオが成果を上げるカギになります。
- 金融業界:従来の金融サービスでは複雑でわかりにくいため、誰でも利用が簡単にできるシンプルで使いやすいインターフェースにデザインすることが求められています。
- 自動車業界:ドライバーの体験価値を向上させるため、UI/UXのデザインが進化しています。例えば、従来のボタンからタッチスクリーンや音声認識への移行が進んでおり、ドライバーが直観的で快適に使えるような工夫が多々見られます。また、電気自動車の登場や自動運転技術のシステム開発やディスプレイの大型化が進んでいたりと、ますますUI/UX技術の発展が見込まれる業界です。
- ヘルスケア業界:国民の健康志向が高まる中で、医療アプリやAIの活用が普及しています。患者が使いやすいアプリやAIを利用して、個別で最適なアドバイスなどを行う機能が注目されています。
- eコース業界:外出をしなくても、パソコンやスマートフォンを利用してWeb上でショッピングができるようになり、ユーザーの体験が売上になるため、UI/UXデザイナーの役割は重要です。ユーザーが快適に目当ての商品を探し、購入できるデザイン・操作性を提供しなければいけません。
UI/UXスキルと他業種における専門性を組み合わせることで希少性が高まり、自身のさらなるスキルアップやキャリアアップを目指せるかつ需要あるIT業種です。
UI/UXデザイナーの求人件数
UI/UXの求人件数は、「将来的になくなる」と言われておりましたが、現在も多い状況が続いており、需要が高いことがわかります。
これから先も専門スキルを持つデザイナーの需要はあります。そのため、急激に求人数が減ることは低いでしょう。


UI/UXの平均年収は?

UI/UXデザイナーは、経験年数や働く業界によっても年収の差があります。新卒や未経験の初任給は約300万~400万円。その後、経験を3~5年積み、デザインやツールスキルが向上すると、プロジェクトを任されることも増え、年収は500万以上と上昇していきます。継続的にトレンドを追いつつ、スキルを向上させることで、より高い年収を目指せる職業です。ここでは会社員とフリーランスで、年収の比較をしてみましょう。
会社員(正社員)の場合
平均年収は「約594万円」となっています。これは、地域や勤務先によって年収の振り幅が大きく、経験値やスキルによっても違いがあり、場合によっては上記の年収から大きく上がるケースも考えられるでしょう。
また、よく比較されますWebデザイナーは、平均年収「約480.6万円」となっており、UI/UXデザイナーが100万円弱ほど高いことから、より高いスキルが求められる職種と推測できます。
フリーランスの場合
フリーランスとして活動するUI/UXデザイナーの年収は、さまざまです。しかし、専門性が高くスキルが求められる職種ですので、レベルの高さをアピールできれば大型案件に携わることもあります。その場合は、年収が1,000万円近くになる可能性もあり、フリーランスで活躍する夢がもてるでしょう。
ただ基本的には、自ら営業して案件に結びつけないといけません。極端な例を出すと、その月に案件が一つもこなければ当月収入は、ゼロになります。
そのため、ポートフォリオのブラッシュアップや実績をSNSなどを活用し営業をしたり、マッチングサイトを利用して案件を受注していきます。
◆出典:職業情報提供サイト_UI/UXデザイナー
UIデザイナー/UXデザイナーの仕事内容

UI/UXデザイナーは、ユーザーにとって「使いやすい・わかりやすいデザイン」で、「ユーザーが満足のいく体験が得られる」ようにWebサイト、デバイスやアプリをデザインする仕事です。
UIデザイナーの仕事内容
Webや電子機器の開発などにおいて、ユーザーがより満足いく体験が得られるよう、ユーザー視点でデザインを行う職種です。 定量性データをもとにユーザーの潜在ニーズ、見た目や操作性をデザインに反映することで、ユーザーの全体的な体験を最適化する仕事です。
具体的には、ユーザーがストレスなく操作が行えるように画面のレイアウトや配色、ボタンの配置などを設計します。
多くは、次の流れで仕事を進めます。案件によって、サービスの根本から関わる事もあれば、画面設計のみデザインをする場合もあります。
- クライアントおよびプロジェクトチームにて打合せをして、サービス内容やUIの方向性を決定します
- ユーザーが受けるサービスなどに対して、目標値を決定し、導線を検討しながら設計をします
- サービスが完成後にテスト運用を実施します
WebサイトやアプリのUIは、定期的にアップデートを行います。そのため、一度参加したプロジェクトに再び関わる場合があります。
UXデザイナーの仕事内容
ユーザーのニーズを理解し、「使いやすさ・快適さ」といった感情に関わる体験を設計・改善することで、製品やサービスに価値をもたらします。UXデザイナーは、UXの5段階モデルを基に業務を進めていきます。
この5段階モデルの特徴は、「ユーザーの目に触れる表面を作るだけではない」ところです。土台となる「戦略」にて、ユーザーのニーズを調査して、そこから抽出した課題を解決をしてから、次の段階に進みます。
このモデルを運用していく中で、前段階を完成させてから次の段階に進む場合もあれば、途中まで制作した状態で次の段階へ進み、または前段階に戻ることもあります。
この点で重要なのは、常に今どの段階にいるのかを意識してこの段階の行き来を繰り返し実施することで、最終的な成果の制度が高まります。
- 戦略:ユーザーのニーズ分析や特定。サービスの目的の策定しサービスの必要な理由を示す
- 要件:戦略を前提に、必要なコンテンツや機能を設定
- 構造:全体の構造を設定する。要件で設定したコンテンツと機能の組み合わせ
- 骨格:ユーザーのニーズに合った情報設計をして、設定するコンテンツやボタンの配置などの具体的に設計
- 表層:実際に直感的な操作が可能かテスト。結果、「良い体験」として感じられるか評価する
サービスの問題点の発見や解決していく仕事です。また、隠れたユーザーニーズを汲み取り、それをサービスに反映することも仕事となります。定期的にサービスを改善していく必要があるので、市場調査・ユーザー調査・Web解析など、さまざまな手法を用いてユーザーの行動データから新たな戦略の策定も実施します。
今後キャリアアップは

UI/UXデザイナーの仕事は多岐にわたり、企業やプロジェクトによってその内容は大きく異なります。そのため、一人のデザイナーが「UI/UXデザイン」と呼ばれるすべての業務を完璧にこなすのは現実的ではありません。
自分の得意分野や強みの見極め
デザイナーとしてキャリアを築いていくためには、自身の得意分野や強みを見極めることが不可欠です。たとえば、UXデザインの5段階モデルでいう「構造」が得意なデザイナーと、「骨格」が得意なデザイナーとでは、求められるスキルや専門知識が異なります。言い換えれば、UI/UXデザイナーは以下のように専門性を高めることが重要になります。
- 「ゼネラリスト」から「スペシャリスト」へ: UI/UXの業務全体を広く浅くこなすのではなく、特定の領域に特化することで、その分野のエキスパートとして価値を高める。
- 得意なフェーズにフォーカスする: ユーザーリサーチや情報設計といった「構造」のフェーズに強みを持つのか、あるいはUIコンポーネントやナビゲーション設計といった「骨格」のフェーズに強みを持つのか、自身の得意分野を明確にする。
このように、自身の強みを深く掘り下げ、得意な領域に集中することで、デザイナーとしての市場価値を高めることができます。
キャリアの方向性
UI/UXデザイナーとしてのスキルと経験を活かしたキャリアパスは、大きく分けて以下の2つが考えられます。
- 専門性の深化
- UI/UXデザインの特定の工程(リサーチ、情報設計、ビジュアルデザインなど)に特化し、その分野のスペシャリストを目指す。
- 職種の転換
- UI/UXデザイナーとして培ったスキルを活かし、別の職種にキャリアアップまたはキャリアチェンジする。
- UI/UXスキルを活かしたキャリアチェンジ
- UI/UXデザイナーは、ユーザー視点でサービスを設計するため、調査力、分析力、マーケティングの視点といった多角的なスキルが自然と身につきます。これらのスキルは、以下のような職種で特に役立ちます。
- プロジェクトマネージャー
- ユーザーやビジネスの視点を理解しているため、プロジェクト全体を円滑に進める上で不可欠な存在となります。
- フロントエンドエンジニア
- デザインの意図やユーザー体験を深く理解しているため、技術的な側面とデザインの両方を考慮した開発が可能になります。
まとめ
UI/UXデザイナーという職種が「なくなる」と言われるのは、AI技術の進化により、単純な作業が自動化され、職種の定義が曖昧になる可能性があったためです。
しかし、これは職種そのものが消滅するのではなく、より高度で戦略的な役割へと仕事内容が進化していくことを意味します。
将来性のあるUI/UXデザイナーになるためには、単にデザインツールを扱うスキルだけでなく、AIを活用しながらも、人間ならではの共感力、課題解決能力、そしてビジネスを理解する力を磨き続けることが不可欠です。
UI/UXデザイナーは、これからもデジタル社会において、ユーザーと企業をつなぐ重要な役割を担い続けるでしょう。

