困りごとが起きてその原因を探っていくと「要因がいくつも思い浮かんできてよくわからない」といった状態になることがあります。 そのようなときに「フィッシュボーンチャート(特性要因図)」が役立つかもしれません。
「フィッシュボーンチャート」は問題に影響している要因を洗い出し、魚の骨のような図に整理するツールです。
この記事では、フィッシュボーンチャートとは何か、実際の書き方と分析のポイント、どのような場面で使えるのか、具体例を紹介しながら初心者にも分かるように解説していきます。
目次
「フィッシュボーンチャート」とは?

要因を整理するためのツール
「フィッシュボーンチャート」は、製造現場で使われている品質管理の7つ道具(QC7つ道具)の1つで、「特性要因図」とも言われています。
複雑でぼんやりしている要因と結果の関係性を図にして目に見える形にすることで、問題解決のきっかけを探すツールです。
「フィッシュボーンチャート」はその名前のとおり、魚の頭の部分に問題や課題を書き、それに対する可能性のある要因を「魚の骨」のように枝分かれさせて書き込んでいきます。
メリット
「フィッシュボーンチャート」のメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
現状を階層構造で整理できる
枝分かれしていくチャートに書き込むことで要因同士の関係が図式化され整理されます。
作業自体がブレーンストーミングの機会となる
「フィッシュボーンチャート」には仮説の要因を書きこむことも可能です。一人で作成する場合でも、グループで作成する場合でも、チャートを埋めていく作業自体が豊かなブレーンストーミングの場となります。
問題の全体像や重要な要因が見えてくる
問題に関係する要因を図式化することで、問題の全体像だけでなく、解決の糸口となる重要な要因が見えやすくなります。
グループ作業の場合メンバー間で共有しやすくなる
共同で「フィッシュボーンチャート」を作成することで問題の全体像がお互いに共有できます。
また作業の結果が図として残るので他者への共有も容易です。
「フィッシュボーンチャート」を使った分析のやり方

ではここから、実際に「会議で時間をかけても結論が出ない」という問題を例にとって、「フィッシュボーンチャート」を使った分析のやり方を解説します。
第1段階
- 解決したい問題を決める
- 問題を魚の頭部分に書く
- 頭から水平方向に背骨を伸ばす
今回の場合は、『会議で結論が出ない』が分析したい問題です。この問題を「魚の頭の部分」に書き、そこから背骨を伸ばします。
第2段階
- 要因の大分類を決める/li>
- 背骨から上下に大骨を伸ばす
- 伸ばした先に大分類を書き込む
要因の大分類には、製造現場では「6M」(設備、手順、資材、人、評価、環境)をよく使います。「6M」は製造現場に限らず様々なシーン・状況にも応用が可能なので参考にしてみてください。問題の性質によっては別の項目を大分類にしても構いません。
背骨から上下に大骨を何本か伸ばし、その先に例えば『人』『方法』『環境』など、今回の問題に関係しそうな大分類を書き込みます。『参加者』『進め方』『情報』『時間』など、問題に合わせて大分類を追加してもいいでしょう。
いつも同じ分類を使わなければならない、というわけではないので柔軟に決めていきましょう。
第3段階
- 分類ごとに要因を洗い出す
- 大骨から派生する形で中骨を伸ばす
- 伸ばした先に洗い出された要因を書き込む
- 「中骨の要因」を引き起こしているさらに細かい要因が見つかったら、そこから小骨を伸ばし書き込む
「進め方」という大分類を例にすると、『議題が整理されていない』『話し合う順番が決まっていない』 『議論が途中で脱線する』などの要因が考えられます。「進め方」の大骨から中骨を伸ばして、その先にこれらの要因を書き込みます。
さらに中骨として書いた「議題が整理されていない」という要因について、『事前に議題が共有されていない』『会議の目的が明確になっていない』など考えられたら、「議題が整理されていない」の中骨から小骨を伸ばしこれらの要因を書き込みます。
このように、最初に思いついた原因だけで終わらせず、「なぜそのような状態になっているのか」と掘り下げていくことで、原因同士の関係がわかり、解決の糸口がみえてくるかもしれません。
第4段階
- 全体図から問題に大きく影響する要因(=原因)を絞り込む
ここで注意したいのは、「フィッシュボーンチャート」に書き出した要因が、そのまま原因として確定するわけではないということです。
図に書かれたものは、あくまで「原因かもしれない」という候補です。例えば「会議で結論が出ない」原因として「議題が整理されていない」と考えた場合、本当にそれが原因なのか、実際の会議の記録や参加者への確認などを通して確かめる必要があります。
「フィッシュボーンチャート」で原因の候補を整理した後、実際の事実やデータを確認して原因を絞り込んでいくことが非常に重要です。
ポイント
要因を洗い出す際は「客観的事実」かどうかに気を付けましょう。主観が入ってしまうと正確な分析ができなくなってしまいます。
また、「フィッシュボーンチャート」は作って終わりではありません。絞り込んだ要因はまだ仮説段階です。その「仮説をもとに対策を講じ、結果を検証する」、これを繰り返していくことが問題解決の一番重要な工程です。
フィッシュボーンチャートの活用シーンと考えられる大分類

活用シーン例
フィッシュボーンチャートの活用は製造現場だけに限りません。
以下のように、日常的なことからビジネスシーンまで様々な問題の要因分析に役立ちます。
| 困っていること | 考えられそうな要因 |
|---|---|
| ゴミの分別をしてもらえない | 表示、ルール、地域差、容器、知識、回収方法 |
| デジタルサービスがうまく使えない | UI、文字サイズ、用語、操作手順、サポート |
| 「あとでやろう」と思ったことを忘れる | 情報量、通知、優先順位、習慣、環境、記憶 |
| ネット通販で「思っていた商品と違う」が起こる | 写真、説明文、レビュー、サイズ表、期待値、UI |
| 「言った・言わない」のトラブルが起こる | 記録、伝達手段、口頭指示、認識、責任者、確認方法 |
| 部署間で連携すると仕事が遅くなる | 情報共有、役割、承認、用語、システム、組織構造 |
| 顧客からのクレームが減らない | 商品、サービス、説明、接客、期待値、サポート体制 |
| 優秀な人に仕事が集中してしまう | スキル偏在、属人化、業務分担、教育、評価制度、組織文化 |
最後に

このように「フィッシュボーンチャート」は複雑でぼんやりとした問題の要因を洗い出し、関係性を整理するのに便利なツールです。
それだけにとどまらず、
- 作業自体がブレーンストーミングの機会となる
- 問題の全体像や解決の糸口となる要因が見えやすくなる
- グループでの作業の場合メンバー間で共有しやすくなる
といった様々なメリットがあります。
日常生活で「困りごとの要因がいくつも絡み合っててよくわからない」とき、職場で「どうしてもうまくいかないが原因がよくわからない」とき、ぜひ一度「フィッシュボーンチャート」を使ってみてください。
「魚の骨」が問題解決の役に立つかもしれません。



