近年、コンプライアンスという言葉をテレビ、ラジオ、ネットなどで
多く耳にすることがあると思います。コンプライアンスという用語は、
英語の “Compliance” から来ています。
コンプライアンスは、大きく3つの要素で成り立っています。
目次
コンプライアンスの3つの要素
- 法令遵守
- 社内規程遵守
- 社会規範遵守
いずれのものに共通しているのは、「ルールを守る」というものです。では、これら3つのコンプライアンスの要素をそれぞれに説明したいと思います。
法令遵守とは?
法令遵守とは、国が定める法律や政令、地方自治体の条例や規則などを守ることを
意味します。コンプライアンスの基本的な部分であり、法律、政令、省令、条例、規則など、国や地方公共団体が定めた法令を遵守することを意味します。
法令は、国民が守らなければいけない、国会で制定された法律、国の行政機関で制定される命令の総称です。地方公共団体のものも含めて用いられることもあります。
法令遵守を違反した場合のリスク
個人の場合は、罰金や懲役などの法的責任を負う可能性があります。組織や企業の場合は、事業に大きな損害が出ることが予想されます。
例:パワハラ、セクハラ行為、インサイダー取引など
社内規程遵守とは?
社内規程遵守とは、企業が独自に定めた就業規則や社内規程などを守ること。
企業が法令や規則、社内規定、社会的な規範や倫理などを守ることを指します。
就業規則などの内部規則は勿論、企業倫理などの社会から求められる倫理観や
公序良俗の意識も大事なことで、会社組織は適正かつ健全に運営するための会社内部の
規則や仕組みを作る必要があります。
企業活動のあらゆる側面において、これらのルールを遵守することによって、
法的リスクを軽減し、企業の信頼性を高めることができます。
社内規程遵守を違反した場合のリスク
情報漏えいや、データ改ざんなどの違反行為があった場合、企業は法的に責任を問われることになり、社会的な信用を失うことになります。
その結果、顧客離れや、取引先の契約の打ち切りなど、あらゆる影響が予想され、
企業イメージの回復に膨大な金銭や時間を費やすことは、避けられないでしょう。
例:個人情報流出、産地偽装、粉飾決算、など
社会規範遵守とは?
社会規範遵守とは、社会通念や倫理観、企業倫理、業界のルールなどを守ることを意味します。社会全体で共有されている、道徳、マナー、慣習など、社会生活を送る上で
守るべきルールです。通常、社会には最低限守らなければならない規則というものがあり、秩序を重んじることや、社会を円滑に進める行動をする、
人権を尊重するなどが挙げられます。中でも、人権はその最たるものです。
社会規範遵守を違反した場合のリスク
人として守るべき道徳的な原則や、守るべきとされるルールを蔑ろにするなどの行為は、
社会的信用を失います。社会生活を送る上で、混乱を招く非常識な行動は許されるものではありません。
例:オンライン賭博、闇バイト、交通違反など
コンプライアンスについてのまとめ
コンプライアンスの3つの要素は理解できたでしょうか?
[法令]、[社内規程]、[社会規範]、3つの遵守という解説を主に取り上げさせていただきました。昨今、ニュースなどでも取り上げられる
旧ジャニーズ事務所性加害問題や、
フジテレビ問題などは、[法令]、[社内規程]、[社会規範]
の3つのコンプライアンスに違反した問題と言えるでしょう。
芸能界やメディア業界のコンプライアンス意識は、21世紀になっても、課題が山積みという実情が見て取れます。しかし、長年軽視してきた問題の代償は大きなものでした。コンプライアンス違反が、個人、組織、社会に与える影響は凄まじく、決して無視して蔑ろにすることができないものと断言できます。このことは、
現代社会の個人、組織全てに当てはまることです。
最も大事なことは、現在の社会的倫理観を持つ人々にとって、
「公正・公平である守るべきルール」であるかです。
一人一人が日頃から意識して、責任をもった行動をすることで、初めて機能するものと言えるでしょう。単に規則を守るだけでなく、その精神を理解することが必要です。
いかなる場合も社会のルールを守ることを重んじ、違反とされるような行為はやめましょう。
“Compliance”
コンプライアンス〔命令や要求に〕従うこと、〔規則等の〕順守、準拠、従順、整合性
などを意味します。
“Compliance”コンプライアンスとは、もともと「何かに従うこと」であって、これだけでは実質的な意味を持っているとは言えません。
まとめ
普段私たちはコンプライアンス違反というと、有名タレントの不祥事や、企業の問題という認識で判断しがちです。しかし、実際は他人事ではない重要なルールなのです。特にコンプライアンスの基本の法令遵守は誰もが意識する必要があります。この記事の中や、テレビのニュース、ネットの記事や話題でも、よく使われる言い方
“遵守” (じゅんしゅ)は、法律・道徳・道理などにそむかず、それを守ること。
という意味です。
ですが、必要以上に厳しいルールも問題です。例えば企業等の組織でコンプライアンスのやりすぎは、ビジネスの柔軟性やスピードに悪影響を及ぼし、社員のモチベーションを低下させることになります。
就業規則や社内規程などルールが本当に業務の目的に合っているかを関係者とコミュニケーションして、問題があるのならば改善することも必要です。
また、近年では幹部・経営者がコンプライアンスを理由にして保身や責任逃れをすることも、珍しくはないです。企業の利益を優先するための建前だけの公平さに問題のあるルールは、本来のコンプライアンスとは言えません。
普段使わない言葉や、本来の意味がわからない単語は、かえって理解しにくくなってしまいがちです。コンプライアンス遵守という言い方は、コンプライアンスの中に日本語の遵守という意味が含まれているため、重複した表現とも取れます。ですが、 “遵守” を強調した表現と受け取ってしまって問題はないでしょう。
難しいと感じると大抵の人は「わからない!」「面倒くさい!」「ウザい!」と感情で判断しがちになります。しかし、最も大事なのは、本質を理解することです。
コンプライアンスの本質とは、社会の常識や倫理を基準に正しい行動を取ることです。
日々の生活で決められたことに従い、逸脱せず守ることは重要です。ですが、ルールに囚われて柔軟な対応が出来ないようでは、社会を良い方向に向かわせる能力があるとは言えません。コンプライアンスが誤解されず、正しく機能させるには、
人間は対等であるという規範を意識し他者への感謝を忘れてはならないのです。