Excel(エクセル)には財務関数がたくさん用意されています。
その中で、今回はAMORLINC(アモルティスモン・リネール・コンタビリテ)関数、AMORDEGRC(アモルティスモン・デグレシフ・コンタビリテ)関数、SLN(ストレート・ライン)関数、SYD(サムオブイヤーズディジッツ) 関数を紹介します。
どちらも、減価償却費という部分は同じなのですが、減価償却費の求め方は国ごとに、企業や商品ごとに異なるため使い分けが必要です。
そもそも減価償却費とはどういうものなのか、どのような場面で使う関数なのかを確認しましょう。
目次
減価償却費とは?
減価償却費とは、固定資産(日本の場合は企業が1年を超えて使用する資産で、建物、備品、車両運搬具など)の経年劣化による消耗を計算し、
固定資産の価値を評価するための費用です。
使えば古くなりモノの価値が減る、ということを経理的に表現したもので、簿記の学習をしたことがある方、経理担当の方は避けて通れないトピックです。
減価償却は固定資産の特性や企業によって方法が異なります。(定額法、定率法、200%定率法など)
日本の場合は会社法によって方法が定義されています。
AMORDEGRC 関数、AMORLINC 関数の使い分けは?フランス式の減価償却
減価償却に関わる関数の中で、MORLINC(アモルティスモン・リネール・コンタビリテ)関数、AMORDEGRC(アモルティスモン・デグレシフ・コンタビリテ)関数は実は、フランスで採用される減価償却の方法を採用した関数です。
AMORDEGRC / AMORLINC =(取得価額, 購入日, 開始期, 残存価額, 期, 率, 年の基準)
取得価額 | 資産の取得価額を指定します。 | |
---|---|---|
購入日 | 資産を購入した日を指定します。 | |
開始期 | 資産を購入したあと、最初に来る決算日(会計期の終了日)を指定します。 | |
残存価額 | 耐用年数が経過したあとの資産の価額を指定します。 | |
期 | 減価償却費を求めたい期を指定します。 | |
率 | 償却率を指定します。 | |
年の基準 | 1年を何日として計算するかを指定します。以下の値が指定できます。 | |
0 | 360日(米国方式) | |
1 | 実際の日数 | |
3 | 365日 | |
4 | 360日(ヨーロッパ方式) |
例えば下記のような場合であればどうなるでしょうか。
AMORLINC関数の場合(定額法)
取得価額, 購入日, 開始期, 残存価額, 期, 率, 年の基準を記入し下記のような表を作成します。
AMORLINC関数を入力し、それぞれのセルを参照していきます。
するとこのように、減価償却費を求めることができました。
ちなみにこの際、期の値を変えてみても、結果の減価償却費は一定になります。
毎期同じ金額を減価償却する、定額法による減価償却であることがわかります。
AMORDEGRC関数の場合(耐用年数による償却率の違いを加味)
AMORLINCと比較するため、各項目がさきほどと同じ表を使用してみます。
AMORDEGRC関数を入力し、それぞれのセルを参照していきます。
減価償却費が求められました。
期の値を変えてると減価償却費が変わります。期ごとに少なくなっています。これがAMORLINCとの違いです。
耐用年数による償却率を加味した減価償却になっているということですね。
SLN(ストレート・ライン)関数、SYD(サムオブイヤーズディジッツ) 関数の違いは?
SLN関数、SYD関数も減価償却費を求める関数です。
SLN関数が定額法による減価償却費、SYD関数関数が算術級数法での減価償却費を求める関数になります。
使い分けについて確認しましょう。
定額法の減価償却費を計算するSLN(ストレート・ライン)関数
定額法の減価償却費は、下記のように計算されます。
減価償却費 = ( 取得原価 – 残存価額 ) / 耐用年数
取得原価から残存価額を引いたものを要償却額といい、耐用年数までに価値減少の起こる部分ですが
この要償却額を耐用年数で等分に割ることによって、毎期同じ減価償却費となります。
関数で求めてみましょう。
SLN = (取得価額, 残存価額, 耐用年数)
取得価額 | 資産の取得価額を指定します。 |
---|---|
残存価額 | 耐用年数が経過したあとの資産の価額を指定します。 |
耐用年数 | 資産の耐用年数を指定します。 |
下記のように求めることができます。
算術級数法による減価償却費を求めるSYD(サムオブイヤーズディジッツ) 関数
SYD関数関数は算術級数法による減価償却費を求める関数です。
算術級数法の減価償却費は、下記のように計算されます。
級数法の償却額=取得原価*当期項数/総項数
総項数=耐用年数(耐用年数+1)/2 当期項数=残りの耐用年数
毎期減価償却費が変化します。毎期減ることになり、簡易的な定率法の計算として用いられることがあります。
関数で求めてみましょう。
SYD =(取得価額, 残存価額, 耐用年数, 期)
取得価額 | 資産の取得価額を指定します。 |
---|---|
残存価額 | 耐用年数が経過したあとの資産の価額を指定します。 |
耐用年数 | 資産の耐用年数を指定します。 |
期 | 減価償却費を求めたい期を指定します。 |
これで求めることができました。
AMORDEGRC関数とAMORLINC関数はフランス式の減価償却の関数で、
AMORDEGRC関数が耐用年数を加味した計算、AMORLINC関数が定額法となる。
SLN関数は定額法、SYD関数は算術級数法の減価償却費を求める。
似ている関数ですが、使用方法を間違えると違う結果になってしまうので気をつけましょう!
減価償却費を求めるAMORDEGRC関数、AMORLINC関数、SLN関数、SYD関数【まとめ】
Excelにある財務関数の種類である、AMORDEGRC関数、AMORLINC関数、SLN関数、SYD関数の書き方と使い方について紹介しました。
減価償却費を求めることができる関数ですが、
使用する際は減価償却の方法によっての使い分けに注意しましょう。