Excelの統計関数に分類される関数で標準偏差を計算したい時に使える関数を知っていますか?
実はExcel関数にはいくつか種類があります。今回は『STDEV』関数と『STDEV.S』関数の2つについて紹介します。
読み方は『スタンダード・ディビエーション(STDEV)』と『スタンダード・ディビエーション・エス(STDEV.S)』になります。
今回の関数はどちらも同じ計算内容になる関数になります。Excelのバージョンによって新しく出来た訳ですね。
何を計算するのか、書き方を確認して行きましょう!
目次
母集団を推測した標準偏差って何?
さて、この関数は母集団を推測した標準偏差の数値を求める関数になりますが、どういう事でしょうか?
標準偏差は簡単に言うと『データのばらつき』を表している数値でしたね。
例えば次の様なテストの結果があったとします。
Aパターン | Bパターン | ||
---|---|---|---|
ID | 点数 | ID | 点数 |
A | 50 | A | 70 |
B | 60 | B | 70 |
C | 70 | C | 70 |
D | 80 | D | 70 |
E | 90 | E | 70 |
合計 | 350 | 合計 | 350 |
平均 | 70 | 平均 | 70 |
AパターンもBパターンもどちらも合計も平均も同じですね。合計と平均だけの結果を見ると違いが分かりません。そこで分散や標準偏差という数値を使って違いを考えます。
今回は細かい計算式を省きますが、標準偏差を見るとAパターンの方は『約14.1』Bパターンの方は『0』という結果になります。これによりどのくらいのばらつきがあったのか分かる訳ですね。
さてこの標準偏差ですが、母数とするデータをどの様に考えるかがポイントになってきます。さっきの数値は5人分のデータで考えた標準偏差になっていますね。
例えば先ほどのテストの点数が高校3年生の模擬試験だったとします。このテストを全国の高校3年生が受けた場合どの様な結果になるでしょうか。
正確に求めようとすれば全国の高校3年生全員に受けてもらい点数を集めて標準偏差を出せばいいですね。
しかしタイミングが悪くて受けられないとか、データがちゃんと集まらないという事も考えられるのでなかなか難しい所があると思います。
そこで、ある一定のデータを標本として、その標本から母集団を推測するという手法が用いられます。もちろん100%正確な数値にはなりませんが、ある程度全体の母数に対する標準偏差というのが分かる様になります。
今回の関数はこの『標本のデータから母数を推測して標準偏差を計算する』という事をやってくれる関数なんですね。便利!
標準偏差の関数『STDEV』と『STDEV.S』の書き方・使い方をチェック
それでは関数の書き方と結果についてチェックして行きましょう
最初に書いた通り今回の2つについてはどちらも同じ様に標準偏差を計算する関数になります。
結果はどちらも同じになります。
書き方は下の通りになりますね。
関数式:『=STDEV(標本となる数値、・・・・)』
関数式:『=STDEV.S(標本となる数値、・・・・)』
引数として指示するのは標準偏差を計算したい数値の範囲になります。
上で説明したテストであれば、それぞれのテストの点数部分ですね。これだけです。
引数に数値以外の文字などが入っている時にはそのセルは無視して標準偏差が求められます。
標準偏差の関数『STDEV』と『STDEV.S』を実際に使ってみよう!
上の例で紹介したテストの点数を活用して標準偏差を出してみる事にしましょう。
まずはAパターンの方からやってみます。
標準偏差を出す所に関数を書き込みます。計算式は『=STDEV(B3:B7)』になりますね。
関数を確定すると母集団を推測した標準偏差になります。
次に『STDEV.S』でもやってみます。
計算式は『=STDEV.S(B3:B7)』ですね。
関数を確定すると同じ結果になっているのが分かりますね。
Bパターンの方も出してみましょう!
関数はそれぞれ『=STDEV(D3:D7)と『STDEV.S(D3:D7)』ですね。
Aパターンと違って『0』になりました。
みんな同じ点数なのでばらつきが無いという事ですね。
実際の試験でこの標準偏差の結果になった場合は全員がカンニングしたんじゃないかって疑われそうですね(汗)
Excelで母集団を推測した標準偏差を計算する【STDEV】【STDEV.S】関数の使い方|【まとめ】
今回は統計関数の中で母集団を推測した標準偏差の計算が出来る『STDEV.S』と『STDEV』の2つについて紹介しました。
関数の使い方だけであれば簡単だったと思います。新しい方が『STDEV.S』関数の方なのでこれから使う場合はこっちを活用にする様にしましょう。
今回は『母集団を推測した』という事でしたが、『母集団を推測しない』で計算をする関数ももちろんあります。使い方は別途紹介しますね。
大切なのはどちらの考え方で標準偏差を出すのかという事なので、自分の求めたい内容に合わせて使える様にして行きましょう!