あの流行りは実は仕掛けられていた?バズマーケティング成功事例5選

あの流行りは実は仕掛けられていた?バズマーケティング成功事例5選

「ひげストロー」「湯〜園地計画」「買わない理由100円買取」—— あの話題、実は企業や自治体が戦略的に仕掛けていました。 本記事では国内外の成功事例4選+失敗事例1選を通じて、 バズマーケティングの仕組みと成功のポイントをわかりやすく解説します。

この光景、覚えていますか?
2014年、世界中の著名人が頭から氷水をかぶる動画をSNSに投稿し続けました。アイスバケツチャレンジです。
実はこれ、企業のキャンペーンでも広告でもありません。ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病への支援を呼びかけた、患者発の社会運動でした。それがSNSで爆発的に拡散し、わずか数週間で120億円以上の寄付を集めました。
ところが、この現象を見ていた人たちの中に
「この仕組み、設計できるんじゃないか」と気づいた人たちがいました。

バズマーケティングとは?あなたも知らず知らず体験している拡散の仕組み

その「設計された拡散」こそがバズマーケティングです。
バズ(Buzz)はハチがぶんぶん飛び回る音が語源。
SNS上で情報が爆発的に広まる状態を指します。
バズマーケティングとは、その状態を企業が意図的・戦略的に作り出す手法のことです。
似た言葉にバイラルマーケティングがあります。
違いはシンプルで、企業が能動的に仕掛けるかどうか。
バイラルは自然発生的な拡散、バズマーケティングは意図的な設計があります。
では実際に、どんな設計でバズは生まれるのか。国内外の事例で見ていきましょう。

なぜあの投稿は広まったのか?成功事例4選+失敗事例1選で読み解く

同じSNSでも、バズり方はまったく異なります。
X・TikTok・Instagram・YouTube、そして失敗事例の順に見ていきましょう。

「何をしても売れない」と告白したら1日で4万件の応募が殺到した話

「何をしても売れない」と告白したら1日で4万件の応募が殺到した話
「何をしても売れない」

——自社商品についてこう発言したら、普通は炎上すると思いますよね?

ところが森永製菓はこの”自虐”を武器に、SNS史上まれに見るバズを起こしました。
2019年7月、森永製菓のチョコレート菓子「BAKE」は公式Twitterで

「買わない理由をコメント付きRTしてくれたら100円で買い取ります」と宣言。
売れない理由を消費者に直接聞く、前代未聞のキャンペーンです。

結果はというと、
初日だけで4万件以上の応募が殺到。
予算上限に達したためわずか1日で終了したそうです。

なぜバズったのか?
理由はおそらく3つ

  • 自虐性:企業が弱みをさらけ出したことへの共感と驚き
  • 逆転の発想:「買わせる」ではなく「買わない理由を聞く」という意外性
  • 参加設計:RTするだけで完結する圧倒的な手軽さ

そしてこのキャンペーンには続きがあります。
集まった声の中で最も多かった不満「食べにくい」をもとに商品をリニューアル。

バズが単なる話題で終わらず、商品改善につながった点も評価されています。

コロナ禍に口紅を売った逆張り戦略KATEリップモンスターが1年以上バズり続けた仕組み

コロナ禍に口紅を売った逆張り戦略KATEリップモンスターが1年以上バズり続けた仕組み
2020年、マスク着用が当たり前になり口紅市場は急速に縮小していました。そんな状況でカネボウ化粧品のブランドKATEが打ち出したのが
「KATE史上最も落ちにくい口紅」
というコンセプトの新商品、リップモンスターです。

市場が逆風の中あえて口紅を出す。この逆張り戦略が最初の話題を生みました。しかし本当の設計はその先にありました。
発売4ヶ月前からYouTubeで商品情報を公開し、じわじわと認知を拡大。
さらに色の名前を
「05 ダークフィグ」
「08 深夜の密談」
のような固有名詞にしました。数字だけの商品番号と違い、
名前そのものがSNSに投稿したくなる仕掛けになっていたのです。
発売直後からTikTokで「本当に落ちないか試してみた」という体験動画が爆発的に拡散。欠品が続出しました。

なぜ1年以上バズり続けたのか?
通常のバズは数週間で終わります。
リップモンスターが異例だったのは、
ユーザーが自発的に投稿し続けるUGC(口コミ投稿)が発売後も増え続けたからです。
「つぶやきたくなる設計」
を商品そのものに仕込んでいたことが、持続的なバズの正体でした。

キャンペーンなしで150万インプレッション 「撮りたくなる」を商品に仕込んだセブンイレブンの戦略

キャンペーンなしで150万インプレッション 「撮りたくなる」を商品に仕込んだセブンイレブンの戦略

バズマーケティングといえば、SNSキャンペーンや大規模な広告を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかしアメリカのセブンイレブンが起こしたバズは、
キャンペーンを一切行わずに生まれました。
仕掛けはシンプルです。人気シャーベット飲料「スラーピー」に、99セントで追加できる「ひげ付きストロー」を販売したのです。
ストローで飲むと鼻の下にひげが現れる、ただそれだけの商品です。
ところがこれが当時爆発的に流行していた自撮り文化と完璧にハマりました。
「撮らずにはいられない」商品だったのです。
特別なキャンペーンなしで150万インプレッションを獲得しました。

この事例が他と根本的に異なる点はここです。
森永BAKEはキャンペーンでバズを設計しました。
KATEは色名という仕掛けでUGCを誘発しました。
しかしセブンイレブンは商品そのものがバズの装置になっていました。
「どうすれば投稿したくなるか」をプロダクトの設計段階から考える。
これをプロダクト設計型バズと呼びます。

市長が「100万再生で実現します」と公約したら4日で達成して本当に温泉遊園地ができた話

市長が「100万再生で実現します」と公約したら4日で達成して本当に温泉遊園地ができた話
企業ではなく自治体がバズマーケティングを仕掛けた事例です。しかもその規模は国内外600以上のメディアに取り上げられるほどでした。
2016年、大分県別府市は一本のYouTube動画を公開します。
「温泉ジェットコースター」
「温泉メリーゴーラウンド」
など、温泉×遊園地というあり得ない組み合わせの映像でした。
そして市長がこう宣言しました。「100万再生で実現します」。
公開からわずか4日で100万再生を突破。8日目には200万再生に達しました。

この事例のバズ構造は他と一線を画しています。
「公約→達成→実現」という3段階のバズが連続して起きたのです。
動画公開で第一のバズ、
100万再生達成で第二のバズ、
そして2017年7月に税金ゼロ・クラウドファンディングで,
本当に3日間限定の温泉遊園地をオープンしたことで第三のバズが生まれました。
結果はバズだけに終わりませんでした。

クラウドファンディングは目標額を大きく超える3,000万円以上を集め、別府市の宿泊客数は5年間で20万人以上増加。
「湯〜園地」は一過性の話題ではなく、別府市のブランドそのものを変えた出来事になりました。
気になった方はぜひ 別府市公式観光サイトもチェックしてみてください。

世界規模で炎上したペプシCM 社会問題を「軽く扱う」と何が起きるか

ここまで4つの成功事例を見てきました。最後は失敗事例です。
バズを狙ったのに逆効果になった、世界規模の炎上事件です。
2017年、ペプシはスーパーモデルのケンダル・ジェンナーを起用したCMを公開します。
内容はこうです。デモ行進の群衆の中をケンダルが歩き、
警察官にペプシを手渡すと、その場が一気に和やかになる——。
公開直後から大炎上しました。

当時アメリカでは「Black Lives Matter」運動が盛んで、警察による黒人への暴力に対する抗議活動が続いていました。
そのデモをCMの舞台に使い、「ペプシ一本で解決」という描写が、深刻な社会問題を商業利用していると受け取られたのです。
キング牧師の末娘も皮肉を込めたツイートを投稿。ペプシは謝罪しCMを取り下げました。
失敗の本質はここにあります。
社会問題への「共感」を狙ったこと自体は間違いではありません。
問題は、その深刻さを軽視した描写でした。
そして何より「バズらせたい」という企業側の意図が透けて見えたことで、反感を招きました。
冒頭のアイスバケツチャレンジと比較してみてください。

アイスバケツは社会貢献が本質にあったからこそ世界中に広まりました。
ペプシは社会貢献を「演出」として使ったからこそ炎上しました。
バズマーケティングで社会問題に触れるなら、本気の関与が問われます。

結局、バズるコンテンツには共通点があった

5つの事例を振り返ると、バズには共通する構造があることがわかります。

  • ①感情を動かす仕掛けがある

森永BAKEの「自虐」、別府市の「本当にやるの?」という驚き、KATEの「本当に落ちないか試したい」という好奇心。どの事例も読者・視聴者の感情を揺さぶる入口が設計されていました。

  • ②参加・拡散のハードルが低い

RTするだけ、動画を投稿するだけ、写真を撮るだけ。誰でも今すぐできる設計だからこそ、拡散が止まりません。

  • ③「続きが気になる」構造になっている

別府市の「本当に実現するのか?」、森永BAKEの「集まった声でどう変わるのか?」。次の展開を見たくなる構造が、継続的な関心を生みました。

  • ④社会の空気やトレンドと連動している

KATEはマスク時代の逆張り、

セブンイレブンは自撮り文化の全盛期。

時代の空気を読んだ設計が拡散を加速させました。

一方でペプシの失敗が示すのは

「バズらせたい意図が透けると逆効果になる」

という教訓です。共感を演出しようとした瞬間、人は離れていきます。

バズは偶然じゃない。仕組みを知れば次は自分が仕掛ける側になれる

ここまで5つの事例を見てきました。アイスバケツチャレンジから始まり、自虐キャンペーン、逆張り戦略、プロダクト設計、公約型バズ、そして炎上事例。
共通していたのは一つです。
バズは偶然ではなく、設計の産物だった。

感情を動かし、参加ハードルを下げ、時代の空気と連動させる。
その構造を意図的に作り出せるかどうかが、バズマーケティングの本質です。
あなたが次にバズを仕掛けるとしたら、何を意識しますか?
その問いを頭の片隅に置いておくだけで、日々のSNSの見え方が少し変わってくるはずです。

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