ゲーム理論:囚人のジレンマとは?ナッシュ均衡やパレート最適も解説

皆さんゲーム理論はご存じでしょうか?ゲームをしている方だけでなく、ビジネスマンの中でも多く知られている言語です。今回は知っている人でも、知らない方でもわかりやすい解説をしていきます。

ゲーム理論とは?

ゲーム理論というのは、社会、経済、ビジネスなど多くの分野で使われている数学理論の一つです。ルールの中で利害関係を持つ相手がいる中、自分と相手の利益を考慮し、最適な行動を決定する事を言います。簡単にゲームで例えるならば、自分のポイントを高くして、失点を減らすにはどうすれば良いのかという問題を求める際にゲーム理論を使います。
そして現実で起きているたくさんの問題を、ゲームの一つとして考え数学的に答えを導き出すため、ゲーム理論という名がついているそうです。
ゲーム理論は、1944年に数学者である「ジョン・フォン・ノイマン」と経済学者「オスカー・モルゲシュテルン」の二人が共同で『ゲーム理論と経済行動』という本の出版をし、これを機にゲーム理論が世に普及していきました。

協力ゲーム

プレイヤーは自主的な判断に基づいて行動していますが、その際にプレイヤー同志で話し合いを行い、それぞれの最善の行動を決定をします。協力ゲームで利得を得るには、選ぶのではなく提携することのみが重要です。

非協力ゲーム

戦略的相互依存の中で、自分たちにとって利得が大きくなるような行動を決定します。各プレイヤーが行動を選んだ組み合わせに対して、プレイヤーの利得が変動します。プレイヤーがどんな行動をとるか答えを出す事が非協力ゲームの目標であると言えます。

戦略的相互依存

戦略的相互依存関係とは、囲碁やチェスのような複数人が対戦するゲームで、それぞれのプレイヤーの行動は、相手の行動に依存するという状況を言います。

囚人のジレンマとは


ゲーム理論が普及してから、様々な定理が普及していきました。そのうちの一つである囚人のジレンマを画像を用いて詳しく解析していきますね!


ある犯罪で捕まった容疑者の二人。※ここではAとBと称します。
裁判官はAとBに対して、ある取引を持ち出しました。

  • 二人は懲役5年です。しかし二人とも黙秘をした場合、証拠が不十分であるため二人とも懲役2年に減刑となります。
  • どちらかが自白した場合、自白した者は釈放。黙秘していた者は懲役10年となります。
  • 2人とも自白の場合は、判決は変わらず5年になります。

二人は別室で取引を受けており、お互いの声や表情などの情報は一切知る事はできません。
それを踏まえて画像を見てみましょう。
二人が黙秘すれば懲役2年になるので、二人にとって最適な選択ですよね。
しかし二人とも自分の利益だけを考えて「自白した」場合は、懲役5年ということになります。
一方で、お互いが相手の事を考えて「自白しない」ことを選んだ場合、懲役2年になります。
この結果を見ていただけるとわかる通り、お互いが一番利得を得られる選択をした場合、協力し合った時よりも悪い結果になってしまうのです。

これがゲーム理論の一つの代表的なモデル「囚人のジレンマ」なのです。
そしてそのゲーム理論の構造を理解する上で大事な「ナッシュ均衡」と「パレート最適」の解説を行っていきますね。

ナッシュ均衡とは?

アメリカの数学者であるジョン・ナッシュ氏によってゲーム理論が提唱された際の重要な概念であるため、ナッシュ均衡と呼ばれています。
ナッシュ均衡とは、非協力ゲーム状況におけるプレイヤーの全員が自分にとって最適な選択をし、これ以上戦略の変更をする理由がない状態(均衡な状態)を言います。言い方を変えれば自分の選択を変えてしまうと利得が得られない状況。
このナッシュ均衡という概念は、幅広いジャンルで応用が効くので企業や国家、社会などの分野で多く使われています。ナッシュ均衡は一つではなく、複数あるということも分野によってはありうる事なのです。

パレート最適とは?

パレート最適は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏によって提唱された概念です。
パレート最適とは誰も不利益にならず、全体の利得が最大になった状態の事を言います。
これ以上の利得を得るには、誰かを犠牲にする必要のある状態の事でもありますね。
企業の生産性を上げたい時にも、このパレート最適の概念が活用できます。
生産性を上げるには、無駄を省く必要があるので、無駄が生じやすいと言われている人材や、設備などに注目しパレート最適の概念を用いることで効率化を期待することができます。

逢引のジレンマ


逢引のジレンマについて画像を用いて解説していきますね。
ここでは、猫♀猫♂がデートでどこにいくのかを想定して図にしてみました。
猫♂がお散歩にいきたい!と考えているのに対して、猫♀はおうちデートが良いと考えています。
条件をまとめると、

  • 条件その1!二匹がどちらともお散歩に行く
  • 条件その2!二匹がどちらともおうちデートに行く
  • 条件その3!猫♂がおうちデート、猫♀がお散歩に行く
  • 条件その4!猫♀がお散歩、猫♂おうちデートに行く

という4つの条件にまとまりました。
このような条件の場合パレート最適は無いので、どちらもとることはできません。
どちらかを選ぶ必要があるので、必然的に条件1と2に絞られる事になります。
そしてこの二つの条件がナッシュ均衡という結果になりました。

逢引のジレンマは英語に変換すると、男女の戦いと訳されるので主張が通るかどうかはカップル内での関係に依存すると言えますね…。

ゼロ・サム・ゲーム


ゼロサムゲームについて画像を用いて解説していきますね。
ここではXとYで表現して図にしてみました。
ゼロサムゲームとは、プレイヤーの得点と失点のサム(総和)がゼロとなるゲームのことを言います。
条件をまとめると、

  • 条件その1!Xが勝ち、Yが負ける
  • 条件その2!Yが勝ち、Xが負けるく

という二つの条件にまとまりました。
このような条件の場合チェスや、囲碁などと同じく基本的に引き分けは無く、両者共に勝ったり負けたりというのは決着がつかないため条件が二つになっています。
そのためナッシュ均衡は存在しないのです。

まとめ


最後まで読んでいただいてありがとうございました!少し難しい内容だったので理解していただける様に画像とともに解説させていただきましたがいかがだったでしょうか?ゲーム理論はゲームだけでなく、ビジネスをするためには必要不可欠と言っても過言ではないかと思います。そのくらいゲーム理論が普及していると実感してます。企業や社会だけでなく、個人にとっても大事なので頭の片隅においておけば、いつか役に立つ日がくるかもしれませんね!そして、囚人のジレンマは会社の経営をする場合は、かなり重要となってきます。そのため、会社の経営をしてみたい!または経営する予定!という方は覚えておくと良いでしょう!不利益を回避するための解決策として「囚人のジレンマ」を防いで経営戦略を立てるのが良いかと思います。ここまで見てくださってありがとうございました!