個人・フリーランス・制作会社へのデザイン依頼 よくあるトラブル

デザイナーや制作会社にホームページ制作を依頼したけどお金や契約でもめた、仕上がりがイメージと違った、などのトラブルはよくあること。でも依頼時・発注時に気をつけていればある程度のトラブルは未然に防ぐことができます。「依頼する側のトラブル」「依頼される側のトラブル」のふたつにわけ、発注側だけでなく、個人・フリーランスのデザイナーや制作会社などのクリエイター側からの視点も掲載しデザイン現場でのあるあるケースと対処法・予防策をまとめてみました。

依頼する側のトラブル

広告代理店、クライアントなど依頼する側から見て多い・起こりやすいトラブルは ①契約に関するトラブル ②クオリティに関するトラブルのふたつにカテゴリに分類されます。

①契約に関するトラブル

・修正対応をしてくれない、相談にのってくれない

これは一番よくあるケースです。デザイナー側からすると「修正依頼が何度も来るのに支払われる額が一緒で割に合わない」。 この状況を避けるためにも「何回まで修正OK」と前もって合意を得ておくか明記した契約書を交わしておくといいと思います。

・何をどこまでやるかの認識の違い

コーディング作業は依頼に含まれるのか、素材の準備はどちらが行うのかなど必ず発注側がどこまで、デザイナー側がどこまで担当するか明確にしましょう。

・運営費、管理費などサイト公開後について

サイト公開後もサーバーを借りて運用するためお金がかかることを知らない人も意外といるので どちらが発生したコストを負担・支払うかでトラブルになりがち。一般的にはサイトの運営管理を制作会社が無料で行うことは少ないと思います。

・リース契約

「ホームぺージはリース契約できますよ、月々2万円でホームページをもてリーズナブルです」のような営業トークに騙されてはいけません。 リース契約は「途中解約できない」などデメリットが多かったり、もし途中解約すると高い違約金が発生したりします。 2~3年契約が一般的なので2万円×36ケ月=72万円とトータルコストがむしろ高くつく可能性も。また、リース契約だとまったく変更更新対応してもらえない、というケースもありトラブルのもとです。

・著作権・所有権

別の制作会社と契約するため、制作会社にこれまでの情報やデータの提出をお願いしたら「著作権・所有権はうちにあるのでデータはお渡しできません。契約が切れればホームページは削除することになります」と回答が。これは要するにHPデータを人質に取られるパターンです。 こんなトラブルをなくすためにも自社のサーバーとドメインを用意したほうが賢明です。依頼していた制作会社がつぶれてしまった場合なども同じようにすべてを失うケースです。リスクヘッジのため自社でサーバーとドメインを用意したほうがいいでしょう。

②クオリティに関すること

・イメージしていたものと違う

「いい感じで作ってよ」「和っぽい感じでおしゃれに作ってよ」 なんてあいまいなニュアンスで依頼したりしていませんか? できあがってきたものがイメージと全然違う。よくありがちなパターンです。 これは「指示の表現があいまい」だったり「自分の解釈で自分の作りたいものに寄せて作」ったり発注する側にもデザインする側にも原因がある場合があります。こんな行き違いを防ぐためにラフを共有したり近いイメージのものを共有したり 事前に密にコミュニケーションをとりすり合わせる必要があります。

・クオリティ低い

期待して任せてみたら全然スキルのレベルがお粗末でクオリティが低かった。。 こんなケースを避けるためにクリエイターのポートフォリオを 見て何が得意で何ができるのか、できないのか事前に見極めましょう。

・検索しても出てこない(SEO対策がなされていない)

デザイナーの多くはSEOの知識がないのでまかせきりな Webサイトは検索上位にくることは難しいでしょう。 そのため、キーワードやサイトで使用するフレーズは発注側がディレクションする必要があります。

トラブルで悩む女性

依頼される側のトラブル

さて、これまでデザインを依頼する側の立場からみた現場で起こるトラブルを説明してまいりましたが、 当然立場が逆になれば見え方も変わってきます。 次は個人事業主・クリエイター・制作会社など依頼される側・デザイナー側からみた多いトラブルを以下の2つに分類しまとめてみました。

●お金にまつわること

●契約にまつわること

 

①お金に関するトラブル

・修正依頼が何度も来るのに支払われる額が一緒

誰でも報酬が変わらないのに作り直したり、変更したりは正直したくないはずです。 無料修正は何回までか、それ以降は修正料がいくらになるか、作り直すのはどこまでの範囲か、などあらかじめ定めておくといいでしょう。

・指示があいまいでコロコロ変わる

部署でイメージの共有ができていても、発注会社の決裁権もった人(偉い人)の鶴のひと声で方針覆ることはよくあります。 これも修正料などをあらかじめ設定しておけば牽制できますし、ちゃんと料金を支払ってもらえるのであればトラブルに発展する リスクも抑えられるのではないでしょうか。

・対価が不明瞭。報酬聞きづらくて聞かずに受けたら相場よりだいぶ安かった

こちらから聞かない限り中にはわざと金額を言わない悪意のある発注者もいるそうです、聞きにくいからと言って スルーして請求時泣きをみるのはあなた。報酬額は必ず確認するべき。 「今後大きな仕事を振ってくれればいいや」と自分に言い聞かせても実際は次回以降も同じギャラでいいように使われるケースが多いようです。

・無料もしくは破格な値段での依頼(友人からの依頼など)

発注者が知り合いや友人の場案によくあるパターンですが「無料でやってくれる?」 「1000円でできる?」そのスキルを得るまでにどれだけの時間や労力を費やしたか、機材にいくら投資したか理解されていないケースです。 駆け出しであれば「実績・経験になるからいいや」と割り切ることもいいですが、プロである以上あまり無料で受けるべきではないと思います。

・報酬が支払われない

「会社の業績悪いから待って欲しい」 「担当が辞めたから現状把握できない」「公開先延ばしになったから支払いも先に」などの理由で支払いが滞るケースもよくあります。 事前に契約書に記載し交わしておけば心配はいりません。

②契約に関するトラブル

・仕事のドタキャン

1ヶ月かけて行うプロジェクトのため、丸1ケ月間予定を空けていたのにメール1通で2日前キャンセル。契約段階で当日キャンセルはギャラ100%の支払い、1週間前までのキャンセル50%、など細かく書面で交わしましょう。

・クライアントと連絡がとれなくなる

SNSのDMからの依頼を受けたり相手の(会社の)素性がわからない場合は 必ず名前・住所・電話番号を聞く。相手が法人の場合は会社名を登記から調べちゃんとした会社か 調べる。返答を渋る場合はお断りしたほうがいいです。可能なら前金を半額もらえるか交渉したほうが いいと思います。またそういったデリケートな内容は口頭ではなく証拠として残るようメールなどで連絡することも大事です。

・クライアント都合で進行がストップする

進行がずれ込む、もしくはストップしたまま立ち消え、なんてこともよくあることです。 委任契約か請負契約かで 稼働した分の報酬を受け取れるか変わりますので契約時は明確にさせましょう。

委任契約:委任された法律行為ないし事実行為を行えば債務の履行になるので、企画が途中でSTOPしても報酬を請求できます。

請負契約:請負契約は、仕事を完成させることがその契約内容となっています。ですので請け負った仕事を完成させなければ債務不履行になり報酬をもらえません。

・打ち合わせにない仕事が追加される、仕事の丸投げ

素材や掲載する文言はクライアントが用意するはずだったのに「適当にやっといて もらっていいですか?」と言われ軽い気持ちで応じたら実際大変でこんなはずでは。。なんてケースはよくあります。 どこからどこまでが自分でどこからどこまでがクライアント管轄か 契約書で明記しましょう。

③著作権に関するトラブル

・コンペで落ちたのに採用された別の会社で酷似しているものが作られた

これも残念ながらよく聞く「アイデアが盗まれてしまう」ケースです。 結果は落選にもかかわらず自分のデザインしたものや素材が「部分的に使われていた」などのケース。許せませんよね、でもほぼ完全な状態で使われていない限りその訴えが認められることはなかなか難しいのが実情です。コンペは圧倒的に開催者に分がある不平等な構造です。 コンペに参加するメリット・デメリットを理解したうえで応募するか、 そもそも「コンペに応募しなくてもいいようにする」ことが大事だと思います。

・勝手にグッズ販売に使われていた

近年多いクラウドワークスなどでは作成したイラストなどの二次使用の権利があるかどうか、曖昧にしてしまうとトラブルに発展する危険があります。必ず契約段階で明確にしましょう。 通常はクライアントに譲渡されるケースのほうが多いようです。

参照:クラウドワークス利用規約

・クライアントが手掛けたデザインの内容を勝手に変えてしまう

修正に出す時間がなかった、自分で直したほうが早いから、というケースが主な理由。 デザインはアートではないので ある程度は仕方がないのかも。。どうしても中をいじくられたくないときや作り方を企業秘密にしておきたい場合などは PDFにしてパスワードをかけるという手もよく使われます。

契約のトラブルで悩む人

まとめ・対策

やはり発注者・制作者ともにトラブルを避けるカギになるのは

①デザインに対する権利や対価を最初の段階で協議する・事前に決めておくこと

②「契約書」として形に残すこと

「契約書を書かせるのはクライアントに失礼なのではないか」と心配されるかもしれませんが、 契約書を交わすことは双方にとってもメリットがあることです。

自分たちを守るとともにクライアントの権利も守られるので クライアントとデザイナーが向き合って長く良好な関係を築くためのステップのひとつともいえます。

契約書の作り方については詳しい外部リンクを載せておきますのでご参照ください!

参照:

デザイン契約について|公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会/JIDA

 

契約書