簿記2級商業簿記対策①:財務諸表についてご紹介します。
検定試験では第3問の決算問題に登場するとても大切なテンプレートとなりますのでしっかりと覚えてください。
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財務諸表

  • 1.損益計算書
  • 2.貸借対照表

財務諸表(3級の復習)

 簿記の目的は、企業の「一定時点の財政状態」と「一定期間の経営成績」を明らかにすることにあります。そして「一定時点の財政状態」を明らかにするために作成する財務表を貸借対照表(B/S)といい、「一定期間の経営成績」を明らかにするために作成する財務表を損益計算書(P/L)といいます。この2つの財務表の総称を財務諸表(F/S)といいます。
 貸借対照表は、「資産」、「負債」および「資本(純資産)」をまとめて作成日現在の財政状態を明らかにし、損益計算書は、「収益」および「費用」をまとめてその差額から一定期間の経営成績(当期純損益)を明らかにします。企業は、貸借対照表と損益計算書を決められたルールのもとに作成し、それを公開することによって簿記の2つの目的を達成したことを証明することができるのです。
 では、その中身についてみていきましょう。簿記会計の出発点と到達点はすべて「現金」にあります。「現金」が増えるか減るかをベースに記録(仕訳)が行われ、そこに「資産」、「負債」、「資本(純資産)」、「収益」および「費用」という概念が生まれます。
 貸借対照表に記載される「資産」は、今現在の現金および将来の現金収入、「負債」は、将来の現金支出をさします。よって、その差額である「資本(純資産)」は、将来の現金残高を示すことになります。この定義はIFRS(国際財務報告基準)によるものですが、日本の会計の定義よりわかりやすいので引用させていただきました。IFRSはヨーロッパ発祥の会計で、現在100か国を超える国が採用している(世界標準の)会計制度です。日本でも任意適用している企業がたくさんあります。
 損益計算書に記載される「収益」は、現金が増える(増えた)原因を、「費用」は現金が減る(減った)原因を指します。その結果、計算される経営成績である当期純利益は現金の裏付けのある利益として計算表示されます。

1.損益計算書

(1)2級の損益計算書は報告式といって縦に並べて記載する方法によって作成します。特に、ひな形(テンプレート)の利益の名称に注目してください。
 ①売上総利益(あらり)
 売上高から売上原価を差し引いて計算表示します。商売人風に言いますと売上高(上代:じょうだい)から売上原価(下代:げだい)を差し引いた売上総利益(粗利:あらり)ということになります。商品そのものから得られる利益を指します。
 ②営業利益(本業によるもうけ)
 売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて計算表示します。販売費及び一般管理費は売るためにかかった費用をいい、給料や減価償却費などがあります。ここに分類される費目は他の区分に比べて多いので注意が必要です。売るためにかかった費用がここに収納されます。
 ③経常利益(1年間に本業と副業により稼いだもうけ)
 営業利益に営業外収益と営業外費用を加減して計算表示する通称“けいつね”です。企業が1年間に稼いだもうけを示していますので期間比較が可能な利益です。昨年に比べて増益とか減益というのはこの経常利益の比較よってなされます。
 家賃や利息など本業以外の収益と費用によって構成されていますので販売費及び一般管理費と比較しながら覚えてください。
 ④税引前当期純利益
 経常利益に特別利益と特別損失を加減して計算表示します。特別利益と特別損失は、臨時損益と過年度損益修正の2つがありますが、2級では固定資産売却損などの臨時損益のみとなります。
 ⑤当期純利益
 税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を差し引いて計算表示しますが、ここで重要なのは、法人税、住民税及び一般管理費の金額が実際の納税額(法人税法上の納税額)であるということです。
 平成28年から3年間かけて行った日商簿記2級の「出題区分の改定」の最終年(平成30年)に登場した税効果会計に直結するものなのでこの時点でしっかりと認識しておく必要があります。
 もともと会計には、会計学(学問)、実務(会社法)および税法の3つの制約を受けていました。以前は税法の力が強く「税法に倣え!」という風潮が強かったのですが、税法は1年遅れの確定した利益(課税対象)を扱うのに対し、実務(会社法)は決算日現在の状況を表しているのでどちらも大事!ということになり税効果会計が生まれました。税効果会計については後述しますのでここでは割愛させていただきます。

2.貸借対照表

(1) 資産の部
 2級における「資産」は、流動資産と固定資産の2つに大別します。さらに固定資産を有形固定資産、無形固定資産および投資その他の資産の3つに分けます。流動資産と固定資産の分類方法としては、正常営業循環基準、一年基準(ワン・イヤー・ルール)、保有目的基準などによって行われます。
 正常営業循環基準とは、商品を仕入れて販売し、その販売した代金で次の仕入れを行い販売し、その販売代金で次の仕入れを行い…という繰り返しを「営業循環」といい、その過程にあるもの(現金、当座預金、受取手形、売掛金、前払金など)を無条件に流動資産とし、その営業循環から外れたものは一年基準(ワン・イヤー・ルール)の適用を受けます。
 一年基準とは、決算日の翌日から起算して1年以内に現金化するものは流動資産、1年を超えて現金化するものは固定資産とするものです。
また、保有目的基準とは有価証券にだけ適用されるもので、有価証券のところでご説明しますのでここでは割愛いたします。
(2) 負債の部
 2級における「負債」は流動負債と固定負債の2つに大別しますが、「資産」と同様に正常営業循環基準と1年基準(ワン・イヤー・ルール)によって分類します。
(3) 資本(純資産)の部
 2級における「資本(純資産)」は、株主資本、評価・換算差額等の2つに大別します。3級では株主資本しか扱いませんので「資本」と呼称していましたが、2級では評価・換算差額等も含みますから純資産の名称を使用します。
 株主資本ですが、資本金(もとで)と剰余金(株主資本-資本金)に分類し、さらに剰余金を資本剰余金(もとで)と利益剰余金(もうけ)に分けます。会社法の制約によって資本剰余金は資本準備金とその他資本剰余金、利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金に分けます。さらに、その他資本剰余金は、資本金及び資本準備金減少差益、自己株式処分差益などに分けますが、これは2級の範囲外です。その他利益剰余金は任意積立金と繰越利益剰余金に分け、任意積立金は〇〇積立金と別途積立金に分けます。資本準備金と利益準備金は社内留保(配当財源として使用不可)、その他資本剰余金とその他利益剰余金は流出可(配当財源として使用可)となります。

2級の貸借対照表(勘定式)と損益計算書(報告式)は3級に比べて細分化されています。最初にひな形(テンプレート)をしっかりと覚えていただいて、そのひな形を意識しながら学習を進めてください。

【最後に】
最後まで簿記2級商業簿記対策①:財務諸表を読んでいただきありがとうございます。
簿記の2つの目的を達成するために作成する最も大切なテンプレートになります。これが簿記のスタートでありゴールになりますのでしっかりとマスターしてください。