簿記2級商業簿記⑨:投資その他の資産、引当金についてご紹介します。
検定試験では第1問の仕訳問題、第3問の決算問題に登場する重要事項になります。
YouTube動画もありますので、動画をご覧になりたい方はこちらです。

投資その他の資産、引当金

  • 投資その他の資産
  • 引当金

投資その他の資産

投資その他の資産のキーワードは「決算日の翌日から起算して1年を超えて」で、長期性預金、長期貸付金、長期前払費用、投資有価証券、関係会社株式などがあります。
(ア) 長期性預金
決算日の翌日から起算して1年を超えて満期日が 到来する定期預金などをいいます。
(イ) 長期貸付金 … 決算日の翌日から起算して1年を超えて償還日が 到来する貸付金をいいます。
(ウ) 長期前払費用 … 決算日の翌日から起算して1年を超える期間の支 払いを行った前払保険料などをいいます。
(エ) 投資有価証券 … 満期保有目的債券、その他有価証券をいいます。 ただし、満期日が1年未満となった満期保有目的債券やその他有価証券(債券)は、 流動資産の「有価証券」として表示します。
(オ) 関係会社株式 … 子会社株式、関連会社株式をいいます。

引当金

引当金とは、将来の特定の費用または損失に備えるため、その費用または損失の額を見積計上したときの貸方科目をいいます。
(1)引当金の設定要件
引当金を設定するための4つの要件としては、
① 将来の特定の費用または損失であること。
② その発生が当期以前の事象に起因していること。
③ 発生の可能性が高いこと。
④ その金額を合理的に見積もることができること。
があり、この4つすべての要件を満たす場合、引当金を設定しなければならないとされています。しかし、現実的には④の合理的に金額を見積もることができるという要件のハードルが高く、結果、一定の引当金しか認められないことになります。

(2)引当金には評価性引当金と負債性引当金の2つの種類があります。
①評価性引当金
資産からマイナスされる引当金をいいます。皆さんが3級で学習した貸倒引当金がこれにあたります。貸借対照表の資産の部で売掛金から貸倒引当金を控除して回収可能見込額を表示したことを思い出してくださいね。
②負債性引当金
 負債として扱われる引当金で、修繕引当金、退職給付引当金、商品保証引当金、賞与引当金、役員賞与引当金などがあります。なお、新しい「収益の認識基準」の施行に伴い売上割戻引当金が、またある一定の業種に限定されていた返品調整引当金が2級の出題範囲から削除されていますのでご注意ください。

貸倒引当金

 (1)貸倒引当金の設定対象
貸倒引当金の設定対象は、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権、クレジット売掛金など)と、金銭債権(売上債権+貸付金)の2つに分けられます。売上債権に対して設定される貸倒引当金繰入は販売費及び一般管理費の部に表示しますが、貸付金に対する貸倒引当金繰入は営業外費用の部に表示します。
なお、クレジット売掛金は顧客と企業の間に信販会社が入ることによって貸倒れが発生することはほぼほぼありませんが、売上債権にクレジット売掛金が入っていることから設定対象に含めさせていただきました。
(2)債権の分類
貸倒引当金が設定される債券は、一般債権、貸倒懸念債権および破産更生債権(1級)の3種に分けられます。破産更生債権は1級の出題範囲なので参考資料としての掲載となります。
(3)貸倒引当金の算定方法
 ①一括評価(実積率法、差額補充法)※一般債権対象
  3級で学習した実積率法および差額補充法で計算する評価方法で、受取手形や売掛金などの債権金額の合計額に実積率を乗じた金額を引当金として設定し、試算表上の貸倒引当金残高に差額を補充する方法よって貸倒引当金繰入を計算します。
 ②個別評価(財務内容評価法)※貸倒懸念債権対象
    貸倒れが懸念される債権ごとに、債権額から担保の処分見込額や保証人からの回収見込額などを差し引いた残額などを基準に貸倒引当金を計算します。
    検定試験の問題では債権金額の50%(30%など)を乗じて計算するなど計算方法が示されていますので見落とさないようにしてください。
  貸倒引当金の設定に対する練習問題につきましては是非動画でご確認ください。

負債性引当金

負債として扱われる引当金で、決算日の翌日から起算して1年以内に使用される引当金を流動負債、1年を超えて使用される引当金を固定負債として扱われます。
  (1)修繕引当金(流動負債)
   毎年行われていた修繕が何らかの理由によってなされなかった場合に引当計上される引当金をいいます。何らかの理由で当期に見合わせていた修繕を翌期に行った場合、本来は当期の費用であったものが翌期に計上されることになりますので、それを修正するために修繕費引当金を流動負債に、修繕引当金繰入として費用計上します。
  (2)退職給付引当金(固定資産)
   退職給付費用(大雑把ですが、今いる社員が全員辞めたとしたら支払わなければならない退職金の額と考えてください。)から年金資産(退職金支払いのために社外にプールしている金銭の額)の差額、すなわち、財源として確保できていない金額を退職給付引当金として設定します。社員の勤続年数が増えると退職給付引当金を積み増し、退職金の支払時や年金資産の積立時にはその額だけ退職給付引当金を減額します。なお、引当金設定時に退職給付引当金繰入勘定を使って仕訳することも可能ですが、検定試験では、実務で多く使われている退職給付費用勘定を使用することが通常となおっていますので指定勘定科目の確認をしっかり行うようご注意ください。
  (3)商品保証引当金(流動負債)
   商品保証(保証書)を付して商品を販売している場合、販売した翌期に保証要件を満たした修繕依頼が来ることを見越して計上する引当金を商品保証引当金といいます。決算時に、保証期間が残っている売上高に過去の実績などから見積もった修繕見積率を乗じて商品保証引当金を設定します。そして翌期に実際に修繕を行ったときは商品保証引当金を取り崩し、引当不足があるときは商品保証費勘定で費用として処理します。
  (4)賞与引当金(流動負債)
   例えば、3月決算の会社の夏の賞与(ボーナス)の計算期間が12月から5月までの半年間で、支給日は6月の場合、12月から3月までの4か月は前の期で、4月から5月までの2か月は翌期に属します。このような場合、3月決算の時に前の期の4か月分の賞与見積計算額を賞与引当金として計上します。そして6月に賞与を支給する際に前の期の分は賞与引当金、翌期の2か月分は賞与手当勘定などで処理をします。これも費用の期間配分をしっかり行うために必要な処理となります。
 (5)役員賞与引当金(流動負債)
   上記(4)賞与引当金の役員バージョンの引当金です。もともと役員とは株主総会から委任契約によって任命された方たちをいい、役員と雇用契約によって雇われた従業員とは契約内容が異なります。従業員賞与は費用ですが、役員賞与は成功報酬(利益処分)としての性質を持ちます。が、従業員と同じ期間配分を理由として引当計上されます。ちょっと余談にはなりますが、貸付金や借入金も役員に対するものは「役員貸付金」、「役員借入金」と別掲記することになりますのでここで一緒に覚えていてください。

最後まで簿記2級商業簿記⑨:投資その他の資産、引当金を読んでいただきありがとうございます。投資その他の資産はどうしても軽く考えてしまいがちな分野です。しかし最近になって普通預金や定期預金が出題されるようになり長期性預金の出題頻度も増えてくると思います。また、2級から登場する有価証券の債券については、満期日が決算を重ねるたびに1年ずつ近寄ってきます。当初、投資有価証券だったものも決算日の翌日から起算して1年以内に満期を迎えることになる債券は、貸借対照表上、流動資産の「有価証券」に含めて表示することになるので要注意です。