簿記2級商業簿記対策:商品売買について

簿記2級商業簿記対策②:商品売買についてご紹介します。
検定試験では第1問の仕訳問題、第2問の計算問題(結構難解)、第3問の決算問題に登場する重要事項になります。
YouTube動画もありますので、動画をご覧になりたい方はこちらです

商品売買

1.返品・割戻し、割引
2.期末商品の評価

1―1 仕入返品・割戻し、割引(三分法の場合)

  品違い、汚損などの理由によって商品を返却することを「仕入返品」、多量または多額の取引をしたことによる商品代金の返戻額を「仕入割戻」といいます。また、商品代金を早期に支払うことを条件に商品代金の一部を免除されることを「仕入割引」といいます。「仕入割引」は受取利息の性質を有する勘定です。
【ヒント】会計上、割引=金利と考えていただいて間違いありません。
  なお、品違い、汚損などの理由によって商品代金の値下げを受ける「仕入値引」は出題範囲の改定により削除されました。削除理由は不合格品を安く仕入れることができても、不合格品を販売することはできないので、不合格品を返品し改めて合格品を仕入直すのが常であるからということです。
 
(1)商品仕入 取得原価=購入代価+付随費用  ※3級の復習です
  (借)仕入   取得原価/(貸)買掛金   購入代価
                /(貸)現金など   付随費用
 【ヒント】仕入代金決済の流れ
① 買掛金 ⇒ 支払手形 ⇒ 当座預金など
② 買掛金        ⇒ 当座預金など
③       支払手形 ⇒ 当座預金など
(2)仕入返品 …品違い、汚損などによる商品の返却額をいい、掛仕入の取り消し(反対仕訳)仕訳を行います。
(借)買掛金    ×××/(貸)仕入    ×××
(3)仕入割戻し…多量または多額の取引をしたことによる返戻額をいい、掛仕入の取り消し(反対仕訳)仕訳を行います。仕入返品と仕入割戻の仕訳は同じ掛仕入の取り消し仕訳になります。
(借)買掛金    ×××/(貸)仕 入    ×××
(4)仕入割引 …一定期間内(早期)に支払いをしたことによる代金の一部免除額は「仕入割引」勘定(収益)で処理します。
  ※仕入割引の計算は、期間内に支払いが行われたときは買掛金×割引率で計算します。
  (借)買掛金    ×××/(貸)現金など    ×××
                /(貸)仕入割引    ×××
  ※仕入割引(≒受取利息)なので損益計算書では、営業外収益の部に「仕入割引」勘定で表示しますが、問題によっては「受取利息」勘定で表示することもあります。

1―2 売上返品・割戻し、割引(三分法の場合)

  品違い、汚損などの理由によって商品が返却されることを「売上返品」、多量または多額の取引をしたことによる商品代金の返戻額を「売上割戻」といいます。また、商品代金を早期に回収することを条件に商品代金の一部を免除することを「売上割引」といいます。「売上割引」は支払利息の性質を有する勘定です。
  なお、品違い、汚損などの理由によって商品代金の値下げを受ける「売上値引」は出題範囲の改定により削除されました。削除理由は「仕入値引」と同じ理由からです。
(1)売上  ※3級の復習
  (借)売掛金   ×××/(貸)売上   ×××
  【ヒント】仕入代金決済の流れ
① 売掛金 ⇒ 受取手形 ⇒ 当座預金など
② 売掛金        ⇒ 当座預金など
③       受取手形 ⇒ 当座預金など
(2)売上返品 …品違い、汚損などによる商品の返却額をいい、掛売上の取り消し(反対仕訳)仕訳を行います。
(借)売上   ×××/(貸)売掛金   ×××
(3)売上割戻し…多量または多額の取引をしたことによる返戻額をいい、掛売上の取り消し(反対仕訳)仕訳を行います。売上返品と売上割戻の仕訳は同じ掛売上の取り消し仕訳になります。
(借)売上   ×××/(貸)売掛金   ×××
(4)売上割引 …一定期間内(早期)に支払いを受けたことによる代金の一部免除額は「売上割引」勘定(費用)で処理します。
※売上割引の計算は、期間内に支払いが受けたときは売掛金×割引率で計算します。
  (借)現金など   ×××/(貸)売掛金   ×××
  (借)売上割引   ×××/
  ※売上割引(≒支払利息)なので損益計算書では、営業外費用の部に「売上割引」勘定で表示しますが、問題によっては「支払利息」勘定で表示することもあります。
(5)諸掛り ※3級の復習
  仕入諸掛(引取費用など)
   自己負担 仕入代金に含めます
    (借)仕   入   ×××/(貸)現   金   ×××
   先方負担の立替払い
    (借)立替金   ×××/(貸)現金   ×××
  販売諸掛(発送費など)
   自己負担 発送費勘定(費用)で処理します
    (借)発送費   ×××/(貸)現   金   ×××
   先方負担の立替払い
    (借)立替金   ×××/(貸)現金   ×××
 【注意】企業では立替払いは余程のことがない限り行いません。資金繰りが狂うからです。よって「立替金」勘定(資産)を設定していない企業もあります。立替金勘定(資産)が設定されていないときは「掛」に変えて仕訳します。仕入時であれば「買掛金」の先払いとして(借)買掛金×××、販売時であれば「売掛金」の請求時に立替分を一緒に請求するため(借)売掛金×××として仕訳します。

2.期末商品の評価

評価とは、貸借対照表に記載する金額を決定することをいいます。
ここでは、貸借対照表、Ⅰ流動資産、商品の評価を行う際、損益計算書に記載する金額の計算方法についても見ていきたいと思います。
損益計算書
Ⅱ売上原価  期末商品棚卸高:帳簿棚卸数量×原価
       商品評価損:(原価―時価)×期末実地棚卸数量
       棚卸減耗損:(期末帳簿棚卸数量-期末実地棚卸数量)×原価
※商品評価損とは、正味売却価額(時価)の下落による商品評価額の切り下げによる費用をいい、損益計算書の売上原価の内訳科目として記載します。正味売却価額は売上高からアフターコストや利益などを差し引いて計算した売却価値をいいます。
※棚卸減耗損はレジを通らないで商品の数量が減少すること、つまり食品売り場での試食のようなものをいいます。試食によって宣伝効果(販売効果)が生まれますので、棚卸減耗損は、損益計算書の売上原価の内訳科目または販売費及び一般管理費の部に記載します。

 貸借対照表
  Ⅰ流動資産  商品:期末実地棚卸数量×時価
  ※損益計算書の期末商品棚卸高-(商品評価損+棚卸減耗損)で計算した金額と貸借対照表の商品の額は同じになります
例題)商品の期末棚卸高は次のとおりとする。
帳簿棚卸高 数量 120個 原価 @200円
実地棚卸高 数量 100個 時価 @190円
   ※売上高 200,000円、期首商品棚卸高 20,000円、当期商品仕入高 120,000円
    のときの損益計算書および貸借対照表を作成しなさい。
  答え)
損益計算書
期末商品棚卸高  @200円×120個=24,000円
商品評価損   (@200-@190)×100個=1,000円
棚卸減耗損   (120個-100個)×@200=4,000円
   貸借対照表
    商品    100個×@190=19,000円

【棚卸減耗損を売上原価の内訳科目とする場合】
損益計算書
    Ⅰ売上高                          200,000
    Ⅱ売上原価
      期首商品棚卸高         20,000
      当期商品仕入高        120,000
        合計           140,000
      期末商品棚卸高         24,000
        差引           116,000
      商品評価損 1,000
      棚卸減耗損 4,000         121,000
        売上総利益 79,000

【棚卸減耗損を売上原価の内訳科目としない場合】
損益計算書
    Ⅰ売上高                          200,000
    Ⅱ売上原価
      期首商品棚卸高         20,000
      当期商品仕入高        120,000
        合計           140,000
      期末商品棚卸高         24,000
        差引           116,000
      商品評価損 1,000         117,000
        売上総利益 83,000
    Ⅲ販売費及び一般管理費
      棚卸減耗損              4,000

貸借対照表
 Ⅰ流動資産
    商    品     19,000

【精算表の作成方法】
 精算表は決算予備手続きで絶対に作成する必要があるものではありませんが、決算手続きの流れをしっかりとマスターするには必要不可欠なものであると考えています。テキストなどではページ数の関係から、決算整理仕訳から説明することが多いですが、決算整理仕訳は精算表の結果を受けて行うもの、すなわち精算表作成と決算整理仕訳は無関係なのです。よって精算表作成につきましては動画をご覧くださいますようお願いいたします。

【最後に】
最後まで簿記2級商業簿記対策②:商品売買についてを読んでいただきありがとうございます。今回の内容は3級で学習した内容への追加項目となりますので、3級の復習から始めるとより理解が深まると思いますよ!